NHK杯 男子2位【加藤凌平選手】会見

報告者:

NHK杯 男子2位【加藤凌平選手】会見
(リオデジャネイロ・オリンピック代表)
「今日を振り返ると、最後の最後のプレッシャーがかかった場面で、しっかり着地まで止められたので、あのオリンピックのピリピリした空気というか、そういうプレッシャーのかかる場面でも、このような演技ができるという自信がつきました。
4年前は代表に入って夢のようで、現地に行くまでもフワフワしていて、右も左もわからなかったんですけれど、今回は自分の力で勝ち取った代表の座なので、しっかりと代表に切り換えられて、練習に臨めると思います」
Q(記者質問):オリンピックへ向けて改めて自分のいちばんの強みは?
「自分のいちばんの強みは、安定感ということで、ミスのない演技です。あとは、あぁいうプレッシャーのかかる場面で、しっかりと演技できる精神力だと思っているので、そこにダイナミックさだったり、力強さだったり、そして演技に関する面も、もっともっと磨いていければいいなと考えています」
Q:最後の鉄棒の場面ですが、先に演技した田中選手が16点に近いスコアを出していて、かなり追い込まれる状況だったと思いますが、バーを握るまでの心境は?
「バーにぶら下がる前に、15.6という点数が必要ということは、計算して分かっていて、その15.6という点数は練習の中でも試合でも、なかなか取れるような点数ではないのですが、でもここまで来たら縮こまってミスのない演技にこだわっても点数が伸びないと感じたので、本当に開き直って、これで成功しても失敗しても自分の実力だと噛み締めて、伸び伸びと着地まで演技しました」
Q:最初の種目から徐々に田中選手との点差が縮まっていく中で、4種目目の跳馬が非常にプレッシャーのかかる種目だったと思いますが、あの時の心境と実際の演技の出来について
「コナミでずっと一緒に練習しているので、どれぐらいの調子でどれぐらいの点数を取ってくるだろうという予想(がありますが、それ)を超えてきて、ゆかからあまり点数を離せずにいました。平行棒、鉄棒は佑典さんが得意なのは知っていたので、その4種目目の跳馬でロペスを跳ばなければ点差が開かない、ということでその選択肢しかありませんでしたし、どうしようという気持ちや恐怖心というのは薄れていました。
でも試合で跳んだのが久しぶりだったので、前のめりにならないようにと考えていましたが、最後の最後に膝を曲げて抱え込んで持ってきてしまいました。それが原因で勢い余って後ろに流れてラインオーバーをしたので、もっとこれからは自信を持ってやりたいですし、ロペスもしっかりとやれる自信がつきました」
Q:内村選手から昨年「来年はお前もぜんぶやるんだから覚悟しとけよ」と言ったという話がありましたが、今後6種目をやるということで意識していきたいこと、この種目を伸ばしたいとか体力面、精神面でも何かありますか?
「去年、足を怪我して4種目やって、足が治れば6種目に出ていたであろうという内容だったので、その時から覚悟はしていました。これから伸ばすとなると、つり輪で点数が伸びず、そこでとくに中国との差を大きく離されてしまうので、そこを伸ばしたいと思います。体力面ではこれからどんどんつめていくので、問題ないと思いますし、メンタル面も6種目やるからこそ、リズムをつかみやすいかなと考えているので、とくに問題はないと思います」
Q:12年からロンドンオリンピック、世界選手権、そしてリオとすべて出るのは加藤選手と内村選手ですが、改めて日の丸を背負って世界と戦う思いは?
「代表選考を勝ち抜いて僕がなったからには、一緒に試合に出た人たちの分まで頑張らなければいけないという責任がありますし、それが指導してくれた方たちへの恩返しにもなると思います。ずっと航平さんを勝たせてあげられなかったので、去年はそろそろ一緒に勝ちたいな、航平さんに良い思いをさせてあげたいなという気持ちで臨みました。
リオに向けても、オリンピックでずっと金メダルを目指してきて、航平さんも僕も日本として団体で金メダルを取るというのがいちばんの目標なので、それに向けてやっていきたいと思います」
Q:試合で跳馬のロペスを跳んだのは、怪我をした時以来でしょうか?怪我の影響は?
「はい、そうです。やはり前のめりになるような着地だったり、余裕のない着地だと、足首を痛めてしまうのですが、実際に一昨日の会場練習で、少しつめてしまいました。恐怖心と、久しぶりなので空中感覚が少し自分の中で狂っているところがありましたが、これからはきっと順調に良くなる方向に進んでいくと思うので、問題はないと思います」
Q:今日の試合中、試合前に、自分で「緊張しているな」とか「あせっているな」という場面はありましたか?
「つり輪が終わってくらいですかね。本当はゆかとあん馬で佑典さんをもっと離したかったんですけれど、そこで離せなかったので、もしかしたら逆転されてしまうのではないかというあせりがありました。
最後の鉄棒を迎えるにあたって、あせりというより開き直ったので、そういう点では常にあせりながら、でもそのあせりが演技に影響するわけでもなく、内容としては集中してできたので、そこは良かったと思います」
Q:追い込まれた時に力を発揮するという言葉がありましたが、お父さんから引き継いだものとか、個人的な経験としてこういう失敗があったから身につけたことがあったとか、という点は?
「正直演技はあまり見たことがないので、父親ゆずりかどうかはよくわからないのですが、でもよく『演技が似ている』『似ている部分がある』と言われるので、そういう部分では自分の努力もあると思いますけれど、環境に恵まれたことに感謝しています。
プレッシャーという意味では、2013年の個人総合の代表選考がいちばんプレッシャーに勝てたかなという経験でした。それがあったからこそ、今回の代表選考でも、しっかりとあの場面で演技ができたなと思います。あとは追いつめられても平常心でいられるというところが、強みだと思います」
Q:鉄棒の構成はカッシーナを含めて完全にものにしたという手応えがありますか?戦いながら実際にリオでこういうシチュエーションがあるなということが頭をよぎった瞬間はありましたか?
「練習ではコンスタントにいかない面もありますけれど、全日本とNHK杯という試合で演技して、ここいちばんで発揮できているので、完成度は高まってきているのではないかと感じています。
あとは15.6は必要だと言いましたけれど、開き直るとも言いましたけれど、ここでしっかりできなければ、リオでもこういう場面になったら演技ができないだろうなという自覚はあったので、それも含めて鉄棒に臨みました」
(C)zuni