NHK杯 男子優勝【内村航平】会見

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NHK杯 男子優勝【内村航平】会見
(リオデジャネイロ・オリンピック代表)
「今日は内容がすごく自分の中では良かったなと思っているんですけれど、オリンピックではこれ以上のことをやらなければいけないですし、凌平(加藤)も代表に決まって、僕と凌平でチームを引っ張っていかなければいけなくて、より一層磨きのかかった演技というものが必要になってくると思います。本当に細かいところまで気をつけてやれるように、またこれからやっていければいいなと思っています」
Q(記者質問):プレッシャーのかかる場面で結果を残したという加藤選手の精神力の強さというのは、内村選手はどのようにご覧になっているのでしょうか?
「ここ4年間ぐらいずっと一緒に世界の舞台で戦っていますけれど、本当に気持ちの面で崩れることがない、そこがいちばん大きな強みだと思うし、団体戦のあの独特な雰囲気の中しっかりやらなきゃいけない時に、凌平の存在というのはすごく大きいです。
凌平がやってくれれば、絶対に失敗しないというふうに僕は見ています。多数の種目を僕たちでやらなければいけないので、そうなった場合には、もっともっと安定感のある演技が必要になってきます。そこを2人で切磋琢磨しながら、やっていければいいかなと思っています」
Q:Dスコアを上げたこの構成の手応えと、加藤選手に期待することは?そして残りの3人に求めることは?
「初日の記者会見でも言ったように、本当にこの構成で、試合でノーミスで通し切れたことというのがあまりなかったんですが、今日は着地までしっかり止めることができて、自分の中ではつり輪の内容があまり満足していないんですけれど、つり輪の完成度をもう少し上げられるようになれば、今日よりもっと満足感がある演技内容になると思います。今日のところは、ミスをしないという課題はクリアできたと思うので、そこに関しては満足しています。
凌平に求めることは、去年の世界選手権が終わった時に、来年はお前もぜんぶやるんだから覚悟しとけよ、っていうふうに言ったので、とくに求めるものはないというか、本人がいちばんよく分かっていると思うので、僕からはとくに何も言わないです。
あともうひとつ代表選考の試合がありますが、そこでは今日には見られないぐらいの高い難度をやってくる選手もたくさんいると思います。それがオリンピックの舞台でできるのかどうか、というところも選考の基準にもなってくると思うので、代表に入るためだけの構成にしてほしくないなというふうには思っています」
Q:改めて北京はどんな大会で、ロンドンはどんな大会で、今回のリオはどんな大会にしたいのか?
「北京の時は、初代表で19歳、本当に何も分からないまま、世界の舞台にポンと放り投げられて、伸び伸び演技していたなと思います。個人でもメダルを取りましたけれど、あれは自分の中では本当にラッキーだったなというメダルでした。そこから4年経って、オリンピックがどういうものか分かった状態で挑んだロンドンが、本当のオリンピックの怖さを知った大会でした。
次のリオは、経験することは相当してきていると思うので、何も考えないで自信を持って、団体の金メダルという最大の目標がありますけれど、それは僕たちの演技ができれば取れるという絶対の自信があるので、あとはそれに向けて、これからどうやっていくかということを考えながら、練習することがリオでいちばん良い演技をするための近道なんじゃないかなと思っています」
Q:地元長崎のみなさんにメッセージを
「九州で大きな地震が頻繁に起こっていて、すごく不安な人たちもたくさんいると思うので、今日は鉄棒の演技のあとに『熊本がんばって!』というところ(ゼッケンに入ったメッセージ)を指差して、皆さんにメッセージを送りました。オリンピックでも変わらずに良い演技をして、皆さんに元気、勇気を届けられるようにしていきたいなと思っています」
Q:4年前のオリンピックでは「オリンピックには魔物がいる」とおっしゃったんですが、この4年間はその魔物の正体を自分の中でどうやって払拭するか考えていらっしゃったのではないでしょうか?今日の試合は、それと何かリンクしていますか?
「たぶんこの構成のままオリンピックもいくと思いますが、まずこの場でミスなくできなければ、間違いなくオリンピックでもミスなくできないと思っていました。最初にゆかに入る時から結構オリンピックの舞台をイメージしてやっていって、それでゆかが結構良かったので、そこからは自分の中で、オリンピックでやっている自分を自然にイメージしながらできたと思います。
だからオリンピックだとどこでもう少し壁が出てくるのか?というところを、自分で探りながら今日やっていました。そう言えば、魔物とか言ってましたね。それはもう自分自身で作り出しているものだと思います。
4年前は体操人生でいちばん良い演技、良い結果というのを求めていました。まずそこが普段通りじゃないし、いつも演技内容にこだわるのに、急に結果にもこだわりだして、そこがまず普段と違う気持ちの持ちようだったと思います。普段はいつも通りの演技を心がけているのに、体操人生でいちばん良い演技というのを求めた結果が、からまわってしまったというふうに自分では分析しています。
ここからもっと完成度を高めて、その完成度が高い状態がいつも通りにできれば、体操人生最高の演技というのは、いつも通りでできると思うので、その完成度を求めて、リオではやっていきたいなと思っています」
(C)zuni