2018アジア大会・男子団体決勝レポート

報告者:日本体操協会広報委員会

予選2位の日本は同1位の中国とともにゆかからスタート。各国1名ずつ交互に演技を行う形式で競技が進められた。

1種目目ゆか

中国は1番手シャオルオテンが13.900、2番手リンチャオパンが14.200

。3番手デンシュディは最初の前方屈身2回宙はまずまずだったが、2節目の宙返り連続でラインオーバー、最後の後方3回ひねりも両足で横に動き13.950。

日本の1番手は谷川翔、最初の前方屈身2回宙ひねりをほぼ止める、2節目で若干動いたが大きなゴゴラーゼを見せ、順調な演技。最後の後方3回ひねりは若干ひねり不足があり後ろに1歩動き13.950と微妙な滑り出し。

2番手野々村笙吾、前方屈身2回宙で入り最後の後方3回ひねりまでまずまずの実施でまとめ14.000。

3番手前野風哉は後方3回半ひねりで入り、途中前方2回ひねりの着地が少し詰まるが最後の後方3回ひねりを見事に止め14.150。

日本が42.150、中国が41.050で、まずは日本が1.100のリード。

 

2種目目あん馬

中国は1番手ゾウジングアンが、美しく雄大な旋回で最後まで安定した実施で押し切り14.750の高得点。2番手スンウェイはさらに素晴らしい演技で15.150と高得点をあげる。3番手シャオルオテンはとりたてて良い旋回での演技とは言えず、細かなミスが散見されたが後半に開脚の前後移動、交差倒立を入れる中身の濃い構成を無難にまとめ14.350。チーム得点44.250

日本は1番手千葉健太が大きなミスなく演技をまとめるが、Dスコアを抑えた内容で14.150と得点を伸ばせず。この種目のポイントゲッターとして期待された2番手長谷川智将はアイヒホルンで足をぶつけるが耐える、その後立て直したかに見えたが開脚後ろ移動で足をぶつけ落下し12.550。3番手谷川翔はベルキで最後片手を馬背に支持してしまうミス、落下せず演技を続けるがDフロップも少し肘が抜けかける、そしてシバドで足をぶつける。落下、停止などの大きなミスはなかったがベルキの難度が認定がされず、さらに中欠点程度のミスが重なり13.450と得点を伸ばせずチーム得点は40.100。

2種目を終わり、中国が85.300、日本は82.250と3.050差を追いかける展開。

 

3種目目つり輪

中国の1番手はデンシュディ、中盤に伸身グチョギー~リーニン十字懸垂で会場を沸かせる。後半の振り上がり倒立で肘を緩めるミスがあったが最後の伸身ルドルフを後ろ1歩にまとめ14.550。2番手スンウェイは振り上がり中水平で若干揺れるが全体としては力強い演技。最後のかかえこみルドルフは両足で前に1歩腕を回してこらえ14.050。3番手14.150。チーム得点42.850

日本は1番手前野風哉がしっかりと力強さを表現し14.350とトップバッターの重責を果たす。2番手野々村笙は入りの逆上がり中水平からすべての力技を正確に美しく捌き、伸身サルトの着地もしっかり止め14.600。3番手千葉健太は振り上がり上水平、中水平など力強さを十分表現、振動倒立も丁寧にこなしかかえこみルドルフの着地もわずかな動きでまとめ14.300。チーム得点43.250

この種目は中国を上回り、中国128.150、日本125.500でわずかに中国との差を詰める。

 

4種目目跳馬

中国は全員ロペス。1番手リンチャオパンは若干姿勢欠点があり着地は後ろ1歩動いたが豪快な跳躍で14.700。2番手デンシュディはラインオーバーがあり14.450、3番手シャオルオテンは鋭いひねりでしっかりひねりきり、後ろに小さく1歩にまとめ14.950の高得点。チーム得点44.100

 

日本は全員ドリッグス。1番手谷川翔はしっかりひねりきり着地をわずかな動きでまとめ14.450。2番手野々村笙吾は入りの姿勢欠点もなく跳躍は良かったが前に1歩動き14.200.3番手千葉健太は14.350でチーム得点43.000。

中国172.200、日本168.500。差が3.750に広がる。

 

5種目目平行棒

中国は1番手リンチャオパン、ドミトリエンコ、リチョルホンなど高難度技をそろえた構成、リチョルホンで若干姿勢を乱し、後方屈身2回宙の着地がわずかに動いたが15.100の高得点でスタート。2番手デンシュディは演技前半に若干屈身姿勢があいまいではあるが大技屈身タナカを実施、棒下倒立で足を開き、ディアミドフで1歩動くが後方屈身2回宙の着地は見事にまとめ14.600。3番手ゾウジングアンはマクーツ、リチャード、上から降ってくるように倒立に収まる棒下宙返り、リチョルホン、バブサーなどこれが理想像というべき素晴らしい実施、前方かかえこみ2回宙の着地も見事に止め16.150の異次元の得点をあげチーム得点45.800。

日本の1番手千葉健太は入りのホンマで若干力を使う、その後は棒下ひねりなど素晴らしい捌きを見せ順調に演技を進めたが前方かかえこみ2回宙ひねり下りであわや後ろに転倒という着地、なんとかこらえたが大きく乱れ14.350と得点を伸ばせず。2番手谷川翔はチッペルトで若干動きが詰まり、前方かかえこみ2回宙ひねりの着地が低くなり前に動く。他はほぼ減点個所の見当たらない素晴らしい実施だったが2つのミスが響き14.500。3番手野々村笙吾はシャルロでバランスを崩し脚を大きく開いてこらえ、なんとかヒーリーにつづける。その後立て直したがツイストが倒立からはずれる。後方屈身2回宙の着地はわずかな動きにまとめたが13.500に終わる。本来の力を発揮できずチーム得点42.150。

中国218.000、日本210.650

高いDスコアの演技を順調にまとめた中国に対し、日本はミスが重なりさらに差を広げられ、その差は7.350に

 

6種目目鉄棒

中国の1番手スンウェイは伸身トカチェフ~リンチ、モズニクを素晴らしい実施。アドラー1回ひねりで倒立からはずれ、アドラーひねりで脚を開く。伸身ルドルフの着地は両足で前に動き14.550。2番手リンチャオパンはカッシーナを見事に成功。コールマン、モズニクをしっかりまとめるもアドラー1回ひねりで戻るが伸身ルドルフの着地はしっかり止め14.050。3番手シャオルオテンはリューキンを成功、トカチェフ系の技を多用した構成をミスなくこなし伸身ルドルフも早いひねり切りからしっかり身体を伸ばして着地をまとめ4.300。チーム得点42.900

日本は1番手長谷川がポゴレロフは成功するがコールマンで落下し12.200。

2番手前野風哉はヤマワキひねりを成功させ順調な演技を期待させたがアドラー1回ひねりで戻る。さらにエンドー1回ひねり大逆手で片手がつかめず落下し11.800。

ここで3位韓国との差が1点未満に縮まり銀メダル獲得に黄色信号。

3番手千葉健太はプレッシャーのかかる中、伸身トカチェフを美しく成功、リンチを回避し開脚トカチェフに。アドラー1回ひねりからのヤマワキが遠くなりひやりとしたがぎりぎりつかむ。伸身ルドルフの着地はわずかな動きでまとめ13.900。チーム得点37.900

 

ミスが多い試合となり、最後は韓国と1.150差となってしまったが、日本は何とか銀メダルを死守した。中国は実力者を揃え、ゆか、つり輪以外の4種目で日本を上回る力を見せつけ、日本の2連覇を阻んだ。10~11月に行われる世界選手権で、日本がこの雪辱を果たしてくれることに期待したい。