第41回全国中学校体育大会(新体操レポート)

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 去る8月20、21日の両日第41回全国中学校新体操選手権大会が山口市で開催されました。
 連日の暑さにもめげず、全国から集まった中学生は夏休みの終わりに、これまでの練習の成果を充分に発揮しようと、どの選手も躍起になっていました。
 幸いにもメイン会場はクーラーがあり、会場の中は快適でした。
 この大会は、都道府県の上位者、上位チームがブロックを勝ち抜き参加するもので、その意味ではインターハイより厳しい大会とも言えるでしょう。
 初日は個人選手47名による、ボール・クラブの演技が行われました。各ブロックから勝ち抜いて出場するだけあり、どの選手も難度、手具操作に優れ演技内容はすばらしいものでした。
 中学生の難度は7点満点になっているために、高校生に比べてはあまり無理もなく、内容的には技に走るのではなく、余裕のある美しい演技と思われました。
 特に上位に入った選手はそれぞれの個性と手具の特性を活かしながらの構成で観衆の拍手をもらっていました。
 総合優勝した早川さくら選手は、ボールの演技では持ち前の美しい容姿で、高い柔軟性やピボットなどをこなし高得点を獲得しました。しかし、クラブでは惜しくも落下のミスもあり種目別2位に甘んじてしまいました。
 総合2位に入った藤岡里沙乃選手は、ボール・クラブともに大変伸びやかさのある演技で、落下ミスも無く持ち前の実力を発揮して堂々の2位になりました。
 総合3位の池ヶ谷春香選手は早川選手同様に優れた柔軟性を活かし、クラブではリスクも決めて21,55と高得点を獲得し、種目優勝となりました。
 個人総合10位までには、これまで協会のジュニア強化対象となった選手が9人も入り、強化の成果が充分に現れており今後が楽しみになりました。
 また、上位選手の多くが容姿に優れ、日本の選手もいよいよ海外に見劣りしない時代が来たかと思わせられました。
 大会二日目は団体体操が行われました。今回の課題はリボン5です。
 中学生は成長の差もあり、リボンの長さが考慮されていると言っても、なかには身長の低い選手もおり、観ていて大変だなと思いました。
 その割にはどのチームも演技に工夫が見られ楽しく拝見できました。特に手具の交換では小さい体で精一杯リボンを投げる姿が健気に思いましたし、その度ごとに観衆からの悲鳴とも取れる応援には苦笑してしまいました。
 今回出場したチームはブロックの代表だけあり、どのチームも作品にはそれぞれのチームの特徴がみられ、特に5人で織り成す連係には中学生らしいリズミカルで可愛らしいものから、選手を持ち上げるリフトなど様々な構成がありました。
 リフトに関しては、高校生や大学生の作品に最近多く観られるようになったものですが、中学生には体力的に難しい感じもしました。
 新体操の手具の中でもリボンの作品は、演技中長いリボンを常に振りまわしていなくてはならず、見ているよりは選手にとっては大変な種目です。
 それが5人ともなればリボン同士が絡みそうになったり、自分のリボンに結びめができたり、あるいは投げ技では遠くに行ったり、墜落したりと不安いっぱいの種目です。
 今回もチームとして優勝出来るのではと思った東京の藤村女子中学校が、後半の落下ミスに泣くことになりました。藤村の団体同時性を重んじたよい作品でしたが大変残念でした。
 同様に作品に工夫がみられ独創的と思ったものの、これもやはりミスによって順位を下げたのは例年頑張っている長野駒ヶ根市立赤穂中学校でした。
 上位入賞したのは、1位は大阪金襴会中学校、2位は勢いとリズムとで踊りきるといった昭和学院中学校、3位は自分たちの演技をミスなく伸び伸びと演じた東京多摩市鶴牧中学校でした。
 4位には地元山口の光市立光井中学校でした。初出場ながら一つひとつの演技を丁寧にしかも落下ミスなく演じたのは、選手たちの欲張らず自分たちの演技を踊りきるという姿勢の現れでしょう。
 全国から集まった25チームがそれぞれの想いの元に演じた大会でした。惜しくも入賞を逃した選手・チームの皆さん来年は兵庫県の尼崎市です。目標をもって頑張ってください。
大会結果