第29回全日本ジュニア新体操選手権大会 女子レポート①

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2011年10月22日、23日の2日間、ここ国立代々木第一体育館において、第29回全日本ジュニア新体操選手権大会が開催され、全国各ブロックの厳しい予選を勝ち抜いてきた、個人46名、団体19チームの選手によって、熱い戦いが繰り広げられている。
先月フランス(モンペリエ)で開催された世界新体操選手権大会において、見事ロンドンオリンピック出場権を獲得したフェアリージャパンPOLAの団体選手も、ジュニア時代にこの舞台を通過し、現在世界の舞台で活躍していることを考えると、この大会はこれから世界へと羽ばたいてくれる日本の若きエース達が輩出される場所と言っても過言ではない。
第一日目、団体競技(ロープ×5)、個人競技前半(フープ、ロープ)が行われた。
団体は2年ごとに種目が変更される為、本年度からロープ5人での競技となったが、どのチームも予選を勝ち抜いてきただけの実力があり、上位にくい込む為には小さな落下ミスも許されず、いかに移動せずに手具をキャッチするか、D1(徒手難度)を正確にやり切れるかが勝敗の鍵となった。
そのような混戦状態の中、軽快な曲に合わせ手具操作、難度共にまとまりを見せたすみれRGが、23.050点をマークし1位を獲得した。2位と0.65点差をつけた要因は、ジュニア選手である彼女達の雰囲気と曲の明るさが上手く生かされた構成により、団体に重要である連帯感やまとまりが感じられたこと、また全体の投げ受けに関してロープに乱れがなかったことである。今後、このまとまりの中で複雑な連携、投げ技が備わってくれば更に大きさ、迫力の感じられる演技が出来るようになるだろう。
2位は22.300点を獲得したサンシャインR.G。このチームの手具操作、投げ受けは1位に引けを取らない確実性があり、演技全体を通しても力強さを感じた。また、選手一人一人の表情もよく、前年度3位から一つ順位を上げる結果となった。
2008年度から3連覇を果たしている安達新体操クラブは、交換で多少の乱れが見られ、いつものような力強さ、精細さを欠いた結果、22.025点と点数を伸ばすことが出来ず3位に終わった。しかし、上位を獲ることが当たり前とされるプレッシャーの中最後まで踏ん張り、最小限にミスを抑えた気持ちの強さがメダル獲得につながったように思う。
同じく3位のCACRGは、多少ロープのひっかかりが見られたものの、D2(手具難度、連携要素)が見やすく点数を伸ばす結果となった。
乱れない手具さばき、投げ受けの正確性がメダル獲得につながった今大会を振り返ると、徒手難度は勿論のこと、手具操作においても基礎を重要視し、地道なトレーニングを続けていくことがレベルアップへの近道だと改めて感じる大会となった。
個人
6月に開催されたアジアジュニア大会において、国別対抗銅メダルを獲得した、池ヶ谷晴香選手(アンジュ)、皆川夏穂選手(イオン)が参加する今大会は、その両選手に注目が寄せられた。(早川さくら選手 イオン は怪我の為棄権)
1日目が終わり、一歩リードしているのは皆川選手(合計46.300点、フープ23.775、ボール22.525)。一種目目のボールはやる気が硬さとなって表れてしまい、リスクが切れてしまう箇所があったものの、落下ミスもなくまとめあげた。二種目目のフープは緊張がほぐれてきたのか、良い開放感の中伸び伸びと演技することができ、見ている側もとても気持ちのよい演技であった。
2位は池ヶ谷選手(46.200点、フープ23.250、ボール22.950)。いつもの様なD2の正確さは欠けたものの落下ミスもなく、徒手難度においては確実にやり切るなど、前年度優勝者としての強さを見せた。
続いて、猪又涼子選手(WingまつもとR.G)が、合計44.850点(フープ22.325、ボール22.525)を獲得し3位に入る結果となった。まだ手具操作にもたつきが見られるが、体の線が美しくとても丁寧に基礎を行っていることが感じられた。
前半競技を終えた現段階で、皆川選手、池ヶ谷選手との差はわずか0.1である。また、残りの選手においても、クラブ、リボンの出来次第で大きく順位が入れ替わることが予想される。その為、2日目もまた目が離せない1日になるだろう。
Photo by 榊原嘉徳