2016新体操W杯ロシア・カザン大会レポート2

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現地7月9日、W杯カザン大会2日目は団体総合と、個人種目別決勝が行われた。
<団体総合 リボン5>
試技順1番はブルガリア。中盤交換の前に落下し、交換が成立しなかった。後半になると投げが乱れ、技をやらない選手がいたりする箇所もあった。17.400
2番はロシア。足投げの技をやめて少し簡単にしたせいか、すっきりと見え、不正確なキャッチも減った。選手も堂々としてきたように思う。18.800
3番はフィンランド。交換の移動があり、少し雑になった。17.100
4番はブラジル。連係が乱れ、ダンスステップコンビネーションで身体にリボンがからんだ。ラストの、スティックで三角形にしたリボンもうまく投げることができなかった。16.700
5番はウズベキスタン。ドゥバンのフェッテローテーションでの脚の下がり、ジャンプターンの重さなど、身体難度に欠点はあるが、大きなミスはなく、エネルギーのある演技をした。17.300
6番はイタリア。途中、結び目ができ、ほどこうとしたがほどけず。フェッテローテーションも結び目があるまま行った。その結び目のせいか、DERの投げがうまくいかずにDER不成立。その後も交換での落下、ジャンプターンでのリボンの絡みなどミスが相次いだ。ラスト前も、他の選手のリボンが首にひっかかり、最後の連係をこなすことができなかった。金メダルを狙うイタリアにしては、驚くほどのミスで、15.900
7番はベラルーシ。ダンスステップコンビネーションでリボンがわずかに絡み、フェッテローテーションでの跳び、交換の移動はあったが、流れを壊すほどではなく、18.500
8番は中国。ドゥバンフェッテローテーションの前に落下し、フェッテに遅れて入った箇所はあった。16.950
9番は日本。全体的にクリアな演技をしていたが、後半の交換で、きれいに来ていたのにもかかわらず、落下。先を急ぎすぎたミスだった。ラストの4本投げは、きれいには飛んだが、2本がうまく離れず、一人が2本をキャッチした。17.250
10番はイスラエル。連係で、転回が終わってからの投げはあったが、大きなミスはなく、18.000
11番はスペイン。連係前に小さな操作ミス。ドゥバンフェッテローテーションでの脚の下がりはあるが、大きなミスは回避した。17.750
1種目を終えて日本は7位。ブルガリアやイタリアに大きなミスが出たのでチャンスであったが、日本も同じようにミスが出てしまった。
オリンピックも一日に2種目行われるので、ここからどう気持ちを立て直すかが鍵である。
<団体総合 フープ2&クラブ3>
試技順はリボンと同じ。
ブルガリアは小さなバラツキが多かった。メンバーが替わり、統一感という点ではまだ足りないような気がする。17.950
ロシアはこの種目も落下ミスを防いだ。途中投げが乱れたが、反応の良さと、キャッチしてから動きでカバーした。18.800
フィンランドは交換の乱れ、不正確なキャッチ、パンシェローテーションでバランスを崩して床に手をついてしまう。16.800
ブラジルはDERで落下。16.550
ウズベキスタンはフェッテの前にクラブを落下。そのあと投げで場外し、連係でも落下が出た。15.350
イタリアは連係で大きく移動。17.950
ベラルーシは連係で大きな落下。しかし、ほかの部分はとてもクリアだった。17.750
中国は落下ミスはなかったが、17.150
日本は1箇所交換が短くなり、走って対処。上からクラブで押さえつけるようにキャッチしたが、落下と取られたであろう。17.400
イスラエルはほぼミスのない演技。18.150
スペインはDERで落下、場外。16.450
結果、総合1位はロシア。
2位ベラルーシ
3位イスラエル
4位ブルガリア
5位日本
6位スペイン
7位中国
8位フィンランド
9位イタリア
10位ブラジル
11位ウズベキスタン
という結果になった。
日本は1箇所ずつの交換のミスが響いた。他の国もイタリアやスペインなどのメダル候補が大きなミスをし、波乱の展開であった。
そんな中、イスラエルは落下ミスなしで演技し、銅メダルを手にした。どんな大会でも目立ったミスをしない強さがある。日本がメダルを手にするには、このイスラエルのような安定感が必要だろう。
明日は種目別決勝が行われ、日本は両種目に出場できるので、もう一踏ん張りを期待したい。
<個人種目別決勝>
皆川夏穂はボールの種目が9位。わずかにベスト8に届かず、今回は種目別決勝に出場できなかった。
ロシアのKudryavtsevaとMamunは、それぞれ2種目ずつを制した。
Kudryavtsevaがフープとボール。どこも実施減点をするところがない演技であった。リボンの種目は棄権。
Mamunはクラブとリボン。こちらも、若干の操作ミスはあったものの情感たっぷりに、観客を魅了した。フープはスケールのバランスのあとに落下して、3位。
観客を魅了したと言えば、なんといってもジョージアのSalome。最後の種目リボンでは、中盤まで回転軸も良く、これ以上ないという演技をしていた。しかし半分ほど演技したところで、伴奏音楽が鳴らなくなり、演技を中断。一度引っ込むことになった。本来なら、音楽CDをチェックして、試技順の一番最後にまわしたほうが良かったと思うが、Salomeはすぐに演技をやり直すことになった。いつもいつもMaxで演技するSalomeなので、すぐの演技は大丈夫なのかと心配されたが、Salomeは2回目も全身全霊で演技した。が、2回目も同じ箇所で音楽が中断。Salomeは今度は演技をやめず、曲なしで最後まで踊りきった。観客は惜しみない拍手を送り続けたが、結局、Salomeは棄権となってしまった。足も故障気味であり、それ以上の演技はできなかったであろう。非常に残念ではあったが、観客の心にはしっかりと焼き付いたに違いない。どんな状況でも、全身全霊で演技する。そんなSalomeから学ぶことは大きい。
韓国のSonは、フープで銀メダル、リボンで銅メダルを獲得。ベラルーシのStanioutaはボールとクラブで銅メダル、リボンで銀メダル。W杯ベルリン大会からの好調ぶりはまだ続いている。
オリンピックまであとわずかであるが、各国の選手たちがどういうふうに仕上げてくるのか、非常に楽しみである。
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