2017新体操チャレンジ杯ロシア大会3

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【大会最終日】 大会情報・結果へ
新体操WCCカザン大会(ロシア)最終日は、種目別決勝が行われた。
《団体種目別決勝フープ》
試技順1番はブルガリア。
若干の移動キャッチはあるものの、エレメントの最後までしっかりやりきるという姿勢が見え、出来も非常に良く見えた。
しかし点数は17.950(D9.400 E8.550)。Dが10.000ではなかったのは何が原因なのかつかめなかった。
試技順2番はベラルーシ。
ブルガリアに比べるとキャッチのための移動が多く、エレメントの終末をやらない選手もいた(たとえば4人が座でキャッチしても1人は立っているなど)。
出来はブルガリアの方が良い感じであったが、18.000(D10.000 E8.000)。
ベラルーシがブルガリアを0.05上回った。
試技順3番はイタリア。
出だしと中盤で移動はあったが、難しい連係を次々とこなし、通常であれば18点台に乗るところが、17.950(D9.500 E8.450)。
続いてロシア。
エレメントの終末をやらない選手がいたり(投げが悪いための処置)、いくつか移動キャッチが出たりしたが、18.700(D10.000 E8.700)。
試技順5番は日本(フェアリージャパンPOLA)。
1箇所、もぐり回転をしながらの投げの連係で移動が出たが、移動は少なめであった。
ここまで種目別を見て、審判員の見方が非常に厳しくなっていることは感じられたため、点数はまったく読めなかったが、18.000(D10.000 E8.000)。なんとか18点に乗せることができた。
ブルガリアやイタリアのD得点の低さは何が原因かはっきりしたことはわからないが、
もしかしたらBD(身体難度)の部分でカウントできない、あるいはダウングレードされた箇所があるのかもしれない。
日本はベラルーシと同点。タイブレークにより3位であったが、団体総合に続いて表彰台に乗ることができた。
(出場選手)
杉本早裕吏
松原梨恵
国井麻緒
竹中七海
鈴木歩佳
1位ロシア
2位ベラルーシ
3位日本
4位ブルガリア
5位イタリア
6位アゼルバイジャン
7位ブラジル
8位スペイン
《団体種目別決勝ロープ&ボール》
試技順1番は日本。
今日もボールの片手キャッチにチャレンジして前半はきれいに決めていたが、中盤の、大会前に変更した連係でわずかにミス。投げたボールを3人の足でキャッチするところであるが、キャッチした直後に足からこぼれてしまった。すぐに拾い、流れは崩さなかったが、16.850(D9.300 E7.550)。
(出場選手)
杉本早裕吏
松原梨恵
横田葵子
竹中七海
鈴木歩佳
2番はスペイン。
R(リスク=手具を投げ上げ、2回転以上の回転を行う)の投げが真上に上がって回転をしない選手がいたり、連係で落下があったりして14.700(D7.800 E6.900)。
3番はベラルーシ。
パンシェバランスでふたりがぐらついた。17.550(D9.400 E8.150)
4番はアゼルバイジャン。
大きなミスはないが、BDがカウントしづらく15.500(D8.000 E7.500)
5番はブルガリア。
移動も少なくすばらしい出来であった。18.250(D10.000 E8.250)
6番はイタリア。
Rのロープキャッチが乱れ、ロープをまとめてからパンシェローテーションに遅れて入った。
17.400(D9.600 E7.800)。
フランスは、落下ミスはなかったがボールの両手キャッチが非常に多く、15.350(D8.800 E6.550)。
ラストは地元ロシア。
連係や交換に移動キャッチはあったがなんとかまとめ、18.750。
結果
1位ロシア
2位ブルガリア
3位ベラルーシ
4位イタリア
5位日本
6位アゼルバイジャン
7位フランス
8位スペイン
ロシアの点数だけ見ると分析しづらくなるのだが、DもEも厳しく採点されている感じがよくわかった。
昨日もこれまでの大会と比較すると厳しいなと思っていたが、今日はさらに厳しくなっている印象。世界選手権ではこれよりさらに厳しくなると予想される。
《個人種目別決勝》
審判員の見方の厳しさは、団体よりも個人の方が如実に表れた。
個人総合のときはミスなく演技して17点台に乗せていた選手が、15点台。
少々の出来の差はあったとしても、私が見る限り出来に大きな開きはなく、ここまで点数が違うことについて、選手自身が1番とまどったことだろう。
しかし、これが本来の姿であるとも言える。
難度点で10点を連発していた大会もあるが、種目別決勝ではだれひとり10点を取ることはできなかった。
主に上体を大きく反らせるジャンプのBDはダウングレードしている選手が多くいると思われ、BDが見えづらいなと感じていた選手たちは、D得点が7点台前半にまで落ち込んだ。
そういった状況下で、皆川夏穂はフープとボールに出場。
フープは出だしのMGキックローテーションがはまらず、パンシェバランスでもぐらつきを必死にこらえた。落下ミスはなかったが、BDの決まりが悪く16.400(D7.800 E8.600)。6位
ボールのBDはフープより良かったが、Rの終末にプログラムされているもぐり回転などを抜いたため(確率が悪く、試合前に抜く判断をした)、ボールも落下ミスなしではあるが15.950(D7.700 E8.250)。4位
フープの1位はロシアのDina AVERINA。
ボールの1位は同じくロシアのArina AVERINA。Dinaは回転しながらの膝の裏キャッチで大きく場外。予備手具に差し替えたため8位。
クラブの1位はDina AVERINA、リボンはArina AVERINAと、姉妹で2種目ずつ金メダルを分け合った。
AVERINA姉妹は、BDもカウントしやすく、AD(加点の可能性のある手具操作)やRもふんだんに盛り込まれている。少々表現力には乏しいが、キャラクターを活かした音楽を使い、構成の巧みさもある。
結局4種目を通じて17点台に乗せられたのはAVERINA姉妹のみ(クラブでDinaは18.500を出した)。
イタリアのAGIURGIUCULESEはミスなく演技をしても15点台(総合では17点台)。4種目ともミスなく演技して全種目で3位に食い込んだイスラエルのRinoy ASHRAMでさえも、フープ以外は、Dは8点台前半であった。
皆川はきちんとやりきりさえすればBDはカウントしやすい。スケールのバランスなどを曖昧にしないこと、エレメントの終末をやりきること、をポイントにしていけば、実施の良さには定評があるので、ポイントアップは見込めるであろう。
とにかく、すべてにおいて曖昧にしないことである。世界選手権前に厳しさを知ることができたことは良かったと思えるし、団体も皆川も喜田純鈴も、世界選手権に向けて最終調整を行い、アグレッシブに戦ってほしいものである。