2018新体操WC杯カザン大会レポート1

報告者:山﨑浩子

8月24日、WCCカザン大会1日目は個人総合前半(フープ、ボール)と団体総合前半(フープ5)が行われた。日本からは、個人総合に皆川夏穂、喜田純鈴、団体総合にはフェアリージャパンPOLAが出場。世界選手権前の最後の大会とあって、個人競技には45人、団体にも20か国が出場。世界選手権の前哨戦としてふさわしい大会となった。

<個人総合前半(フープ、ボール)
皆川夏穂は、ボールの種目から。R(リスク=手具を投げ上げ、2回転以上の転回を行う)の投げが前に行き過ぎたが、足キャッチではなく回転をしながらのキャッチに変えた。美しく流れるような演技で、(D難度点9.30 E実施点8.75 18.050)で2大会連続で18点台に乗せた。

フープでは、MGキックのローテーションの終末が1歩流れ、床にフープを押し付けて跳ね返しながらのAD(加点対象となる手具操作)が前に行き、移動してキャッチした。ラストのADも時間がなくなり、カット。いくつかミスが出た割には、フープも今季初めて18点台に乗せることができた。(D9.80
E8.30 18.100)2種目合計36.150で現在9位。

喜田純鈴は、復帰第2戦目。
BD(身体難度=ジャンプ、バランス、ローテーション)の精度や、AD、Rの精度もだいぶ良くなっている。しかし、フープはラストの足キャッチのRで落下。ボールもラストのADで落下し、手具なしでポーズ。いずれもラストのミスが出てしまった。
フープ(D8.60 E7.05 -0.05 15.600) ボール(D8.50 E6.45 14.950)計30.550
内容は非常に良くなっているため、あと少しの調整で得点のアップが図れるであろう。喜田はコンディション調整のため、後半種目は棄権する。

前半1位はロシアのDina AVERINA。フープではシカジャンプでの足バウンドでコースが外れ、ヒヤッとしたが、なんとかキャッチ。ラストまでこれでもかと技を詰め込み、(D11.80 E8.90 20.700)ボールはラストが不正確なキャッチとなったが大きなミスはなく、(D11.60 E8.90 20.50)計41.200

2位は同じくロシアのSOLDATOVAとイスラエルのASHRAMが合計40.900で並んでいる。
SOLDATOVAの調子は良く、パンシェローテーションは6回転以上回り、ダイナミックな演技を見せた。感情表現も豊かで、音楽がよく聞こえてくる感じはするが、フープで若干不正確なキャッチがあり、現在2位。

イスラエルのASHRAMは両種目ともほぼミスのない演技で、同じく2位。
1位と2位の差は0.3しかないため、金メダル争いはし烈なものとなっている。

4位ブルガリアのTASEVA
5位ブルガリアのKALEYN
6位スロベニアのVEDENEEVA
7位イスラエルのZELIKMAN
8位イタリアのBALDASSARRI
9位皆川夏穂
10位イタリアのAGIURGIUCULESE
11位USAのZENG
12位ベラルーシのHALKINA
13位USAのGRISKENAS

6位のスロベニアの選手はノーマークであったが、とても美しく演技しており、聞けば今季ロシアから移籍した模様。
上位にロシア2名、ブルガリア2名、イスラエル2名、イタリア2名、USA2名。
ベラルーシはHALKINAしか出場していないが、ここにSALOSが加わり、ウクライナのNIKOLCHENKO、そしてスロベニアのVEDENEEVA、ジョージアのSalomeなどが入り込んでくると、入賞することも容易ではなくなってきた。とにかく少しでもD得点を上げるように作品構成をして、それを正確にこなすことが重要である。

皆川はフープが10位、ボールが8位。
ボールで種目別決勝に出場する。

<団体総合前半>フープ5
日本は作品を大幅に変えてから出場したミンスク大会の総合、種目別決勝を通して、このフープはいまだ納得のいく演技ができていない。今日も出だしの複数投げでフープの投げが乱れ、大きく移動してキャッチ。そこからは我慢の演技で、中盤の胴体からの回し投げ交換では、手に引っかかって投げられず、時間差で小さく投げることとなった。後半は落ち着き、落下ミスはなかったが、全体を通しては安定感にかけた。それでも得点はじりじりと上昇しており、(D13.40 E7.75 21.150)で前半5位。

出場選手
杉本早裕吏
松原梨恵
熨斗谷さくら
横田葵子
鈴木歩佳

ロシア、ブルガリア、イタリアの3強がそろい踏みとなった今大会。しかも試技順がブルガリア、ロシア、イタリアと続いていて、非常に見ごたえがあるとともに比較しやすい大会となったが、前半1位はブルガリアであった。
若干の移動キャッチはあったものの、視野外手以外のスロー・キャッチなどを次々と決め、非常にエネルギーのある演技であった。
(D14.20 E8.70 22.900)

2位はイタリア
こちらも若干のキャッチ移動はあるが、洗練された動きであった。
(D13.90 E8.65 22.550)
同じような出来であったミンスク大会ではD得点が14.40であったため、インクワイアリを出した。が、ビデオ判定の結果、得点は変更されなかった。

3位は地元ロシア
中盤の交換の投げが大きく乱れ、必死に走ったが追いつけず落下。膝をついてのキャッチとなった。
(D14.40 E8.00 22.400)

4位はベラルーシ
非常にまとまりもよく、大きなミスはなかった。
(D13.60 E8.35 21.950)

5位が日本
6位中国(D12.70 E7.65 20.350)大きなミスなし
7位スペイン(D12.60 E7.45 20.050)大きなミスなし。移動も少ない
7位フランス(D12.60 E7.45 20.050)
9位イスラエル(D12.50 E7.10 19.600)体勢を崩しながら交換のキャッチをする場面あり

日本は種目別決勝フープに出場できるので、世界選手権前の最後の調整を図りたい。

明日は個人総合後半(クラブ、リボン)、団体総合後半(ボール3&ロープ2)が行われる。
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