2018新体操WC杯ミンスク大会レポート3

報告者:山﨑浩子

8月19日、WCCミンスク大会最終日は団体種目別決勝と個人種目別決勝が行われた。

<団体種目別決勝>フープ5
日本(フェアリージャパンPOLA)はフープの2本投げが乱れ、くぐり抜けがうまくできなかった。しかし、定位置にフープが飛んできたため、落下を回避。フープをフープではじく場面ではワンバウンドとなり、いくつかミスが出たが後半落ち着きを取り戻した。大きく崩れなかったため、(難度点D12.90 実施点E7.45 20.350)とフープはミスがありながらも20点台に乗せた。

出場選手
杉本早裕吏
松原梨恵
熨斗谷さくら
横田葵子
鈴木歩佳

1位はイタリア。
少しキャッチの移動が見えた箇所はあったが、全体的には隙がなく、スピーディーな演技であった。(D14.10 E8.70 22.800)

2位はロシア。
やはり少しのキャッチ移動はあるものの大きなミスはなし。しかしイタリアには勝てず、(D13.60 E8.50 22.100)

3位はベラルーシ。
大きなミスはなく(D13.00 E8.15 21.150)

4位はイスラエル。
キャッチの移動やBD(身体難度)の減点が入る印象であるが、大きなミスはなく(D12.90 E7.70 20.600)

5位が日本
6位アゼルバイジャン(D12.30 E7.50 19.800)大きなミスなし
7位スペイン(D11.20 E8.00 19.200)大きなミスなし
8位ウクライナ(D12.90 E5.15 ‐0.60
17.450)連係で落下し、場外もあり予備手具に差し替え。落下の処理をしているときにフープが投げられたため、再度落下。

<団体種目別決勝>ボール3&ロープ2

試技順1番のスペインは大きなミスはなかったが、ボールの両手受けが多い印象。
(D11.30 E7.40 18.700)

試技順2番はイタリア。
よどみなく演技し、この種目も隙はないのかと思われたが、ラスト近くの連係で、腰でボールを挟む際に落下。そのあとの連係もボールを落下して、ボールは場外へ。1個のボールがないままポーズした。(D11.80 E6.85 18.650)

試技順3番はアゼルバイジャン。
キャッチの移動はあるが大きなミスなし。(D11.80 E7.90 19.700)

試技順4番はロシア。
ロシアはここまで金メダルを獲得できておらず、イタリアが自滅したいま、金メダル獲得の最大のチャンスである。そしてロシアは大きなミスはなく、(D13.50 E8.70 22.20)という高得点を出した。

4チームを終えて、
ロシア
アゼルバイジャン
スペイン
イタリア
の順位。

試技順5番はウクライナ。連係のキャッチで大きく移動があり、(D13.00 E7.25 20.250)

そして試技順6番に日本が登場。交換の際、キャッチでロープが乱れる場面があったが、加点対象となる複数投げ、手以外視野外スロー・キャッチ等をほぼものにした。得点は(D14.20 E8.20 22.400)で、なんとロシアを抜いて1位に。目標であったDを14点台に乗せることもEを8点台に乗せることもクリアした。

出場選手
杉本早裕吏
松原梨恵
熨斗谷さくら
横田葵子
鈴木歩佳

続くベラルーシはキャッチの移動で大きく動き手を床についてしまったり、パンシェバランスでのぐらつきがあったりして、(D12.80 E8.10 20.900)
最終演技チームのイスラエルは大きなミスはなかったものの(D10.80 E7.50 18.300)

日本はほぼミスのなかったロシアと戦って金メダルを獲得した。これまで、ロシアにミスがなければ勝てたことはなく、これは大きな収穫であり、大きな自信になると言えよう。日本は作品中に組み込まれている加点対象の技を正確にこなしたことが勝利につながったと考えられる。

世界選手権までまだ時間があり、どの国も最後の調整を図って挑んでくるであろうが、日本も持ち味の正確性を武器に、ひとつでも加点の取りこぼしがないように、ひとつでも不正確な手具操作がないように、得点を積み上げていきたいところである。

1位日本
2位ロシア
3位ベラルーシ
4位ウクライナ
5位アゼルバイジャン
6位スペイン
7位イタリア
8位イスラエル

<個人種目別決勝>
ボールの種目でファイナリストとなった皆川夏穂は、今日も流れるような演技を行った。若干投げが上に上がり気味であったがうまく処理をしていた。昨日やれなかったAD(加点対象となる手具操作)も行えたものもある。しかし、ラストのADのためにボールを投げ上げた時には、すでに音楽の終わりがきていて、終末のポーズと音楽が合わない形となった。
0.5の減点が入り、(D9.00 E8.15 17.150)。いつもポーズがぎりぎりのため、このあたりの修正を図りたいところである。皆川は8位。

フープの1位はベラルーシのHALKINA。
ボールはロシアのSELEZNEVA。
クラブはイスラエルのASHRAM。
リボンはロシアのSOLDATOVA。
と、4種目で違う選手が金メダルを獲得した。
団体でもフープはイタリア。ボール&ロープは日本と、同じ国・選手が王座に立っていない。

ルールの変更により、加点対象となる手具操作を詰め込んでいる選手が多いが、反面ミスも出やすく、それがこの現象を生んでいるのだろう。逆に言えば、どの選手、どの国にも金メダル獲得のチャンスはあるということである。今後も、団体も個人も小さな努力を積み重ねて、表彰台を狙っていきたい。
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