新体操W杯ペサロ大会2019レポート1

報告者:山﨑浩子

4月5日、W杯ペサロ大会が始まりいよいよW杯シリーズの幕開けである。
本日は個人総合前半、団体総合前半が行われ、個人競技には72名、団体競技には18チームが参加と、大規模な大会となった。
日本からは個人競技に皆川夏穂、大岩千未来(ともに特別強化選手)、団体競技にフェアリージャパンPOLAが出場した。

<個人総合前半>
皆川はボールの種目から。
いくつかもたつきがあり、中盤のAD(加点対象となる手具操作)の連続では、音楽に間に合っていない感じがあったが、大きなミスはなく、
20.250。20点台に乗せた。
D1(BD身体難度、Sステップ)4.40
D3(AD、Rリスク=手具を投げ上げ、2回転以上の転回を行いキャッチ)7.30
E(実施)8.550

D3の得点の低さが課題であったが、7点台に乗せられており、課題はクリアしていると言えよう。

フープは、中盤の足キャッチや、Rのもぐり回転をしながらのキャッチなどが不正確になった。ラストもプログラム通りではなかったが、なんとかこらえた印象。
19.200。
D1 4.00 D3 6.60
E8.600

大岩はフープの種目から。
ローテーションを得意とするが、支持あり後方のローテーションが最後まで軸が崩れることなく決まった。
大岩は3月に行われたリスボンインターナショナルで良い演技をしながら、もうひとつ点数が伸びなかった。理由は、投げの高さにあったが(高さによって加点が異なる)、それをこの大会までに改善してきた。
ラストのADは曲に間に合わず、0.05のタイムオーバーになってしまったことで、20点にはあと一息届かなかったが、一気に得点がアップして、上位陣と戦える位置まで来た。
19.950。
D1 4.600 D3 7.200
E8.200

ボールは前半の支持あり後方ローテーションで、腰にボールをはさんで回転をしたが、軸がずれてかかとが早めに床についてしまう。
そのせいで回転後ボールが腰から抜け、その場に落下。
後半のローテーションはしっかりと決まったが、惜しいミスが出た。それでも以前より得点が伸び、
18.900。
D1 4.600 D3 6.600
E7.700

皆川は総合10位で折り返し、すぐ下の11位に大岩が位置している。

前半1位はロシアのArina Averina。2位は双子の姉妹、Dina Averina。
ふたりとも大きなミスはなかったが、足キャッチでボールがこぼれたり、BDで乱れが出たりした。
Arinaはフープ22.050、ボール21.400
Dinaはフープ21.800 ボール21.100

3位にはブルガリアのKALEYNが位置している。
フープでは持ち替えの際に落下が出たが、全体的にはダイナミックで、ADも切れ目なく行っている。
得意のフェッテのローテーションでは、最初のローテーションで6回以上は回っているため、ボールのD1は5.2と、Averina姉妹と同等である。
フープ20.200 ボール21.300

これまでAverina姉妹がだんとつの印象であったが、多くの選手が20点を超えるようになり、その差は縮まってきている感がある。
問題は後半種目のクラブとリボンで、なかなかADをいれづらい種目であるが、Averina姉妹は難なくこなしているため、後半で引き離しにかかることが予想される。

4位は同じくブルガリアのTASEVA。
ボールではバランスで若干の崩れがあったが、RやADを次々とこなした。
フープ21.200 ボール20.250

5位、地元イタリアのBALDASSARRI。
フープは少しもたついた感じがあったが、ボールでは大きなミスはなく、両種目とも20点台に乗せた。
フープ20.450 ボール20.800

6位はベラルーシのHALKINA。
ボールは流れるような演技を行っていたが、Rの座、視野外でのキャッチでボールを抑えきれず、落下。
フープは軽快に演技した。
フープ21.200 ボール19.250

7位USAのGRISKENAS。
フープは大きなミスはなく、20.600。
ボールは前半のADで落下し、19.850。

8位、9位にウクライナ勢。NIKOLCHNKOは出場しておらず、2名とも比較的小さな選手であるが、ADやRを数多くこなすことで得点を加算した。
10位皆川、11位大岩。

12位にイタリアのAGIURGIUCULESE、13位にジョージアのPAZHAVAがいる。
AGIURGIUCULESEはボールの、腕を逆手にしてのキャッチで落下。18.550であったが、フープは20.100。
PAZHAVAは独特の世界を演じて観客を魅了したが、ADが不正確なものもあり、フープ19.300、ボール19.300。

フープは加点対象となる手具操作を入れやすいため、得点も上がりやすく、種目別決勝進出者全員が20点台で9位までが20点台となっている。
そんな中、10位に大岩が入っていることは大健闘である。皆川は14位。

ボールは皆川とTASEVAが同点であったが、タイブレークによりTASEVAが6位、皆川は5位で決勝進出を決めた。

<団体総合前半ボール5>
日本は出だしからきれいに決めていたが、Rのキャッチで、取った後に落下。ボールがこぼれたために、続く交換が行えなかった。
正面からではなく横から観ていた印象では、バタついた箇所があったが、正面からはミスに見えない箇所もあったようで、
思ったより点数が残った。
Rのキャッチも、Rが成立した後の落下であるのか、RのキャッチミスなのかでD3の得点がだいぶ変わるが、得点を見ると、Rを成立した後の落下と見られたようである。
D1(交換、S)5.500
D3(連係、R)10.500
E(実施)7.550
計23.550

出場者
杉本早裕吏
松原梨恵
熨斗谷さくら
鈴木歩佳
竹中七海

前半1位はロシア。
移動キャッチも多かったが、D3が11.300も加算されていて、
D1 5.600
D3 11.300 E8.350
計25.250

2位はベラルーシ。
加点対象となる手具操作(手以外や視野外など)をやらない選手もいたりはしたが、全体的には大きなミスはなく、
D1 5.700
D3 10.500
E 7.850
計24.050

3位はイタリア。
交換でボールがこぼれ、連係では蹴り上げたボールが大きくそれて、落下。
D1 5.500
D3 10.500
D16.000であったがインクワイヤリーが出され、16.100に得点が修正。
E7.900で23.900の4位から、24.000の3位に上がった。

4位はブルガリア。
非常にドラマチックで、音楽の強弱にぴったりと合ったエネルギッシュな演技であったが、D3の得点が伸びず、
D1 5.500
D3 10.000
E 8.450
計23.950

5位が日本で、6位にイスラエル。
大きなミスは感じなかった。
D1 5.500
D3 10.200
E 7.400
計23.100

7位ウクライナ
連係で落下。ラストの連係では転回をした選手がボールをキャッチしていないので成立していない。
D1 5.900
D3 9.600
E 7.550
計23.050

8位USA
移動キャッチが多い。
D1 5.000
D3 10.400
E 6.850
計22.250

9位中国
中国も大きなミスはしていないと感じた。
D1 5.300
D3 9.600
E7.350
計22.250

10位アゼルバイジャン
一か所、落下に見えた。
D1 5.200
D3 9.000
E 7.400
計21.600

各国の今季の演技を生で見るのは初めてなので、ミスなのかそうでないのかが把握できていないが、各国ともよく工夫して、特にD3の得点アップをめざしている印象である。
明日はフープ3&クラブ2が行われ、2種目の合計点で団体総合順位が決定する。
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