新体操W杯バクー大会2019レポート1

報告者:日本体操協会

4月26日、W杯シリーズの最後の大会、W杯バクー大会が開幕した。
本日は個人総合前半と団体総合前半が行われ、日本からは個人競技に皆川夏穂、大岩千未来、団体にフェアリージャパンPOLAが出場した。

<個人総合前半>
日本から先に登場したのは皆川。
フープでは、中盤のひねり回しでのAD(加点対象となる手具操作)でわずかに落下。
他の箇所でも加点の操作が欠けるところがあった。
D1(BD身体難度、Sステップ)
D3(AD、Rリスク=手具を投げ上げ、2回転以上の転回を行ってキャッチ)
D 11.200
E  7.500 計18.700

ボールは出だしのADで、視野外、手以外のキャッチでボールを挟み切れなかった。
そのほかは以前より流れがスムーズになってきている。
D1 4.200
D3 6.600
D 10.800
E  7.750 計18.550

大岩は今日もローテーションの軸の乗りは良かった。
ボールではラスト近くのバウンドのADで少しつかみ損ねたように見えたが、
D1 4.800
D3 6.200
D 11.000
E  8.000 計19.000
で、皆川の上をいった。惜しくも9位で種目別決勝進出を逃したが、リザーブ1となっている。

フープも美しく演技していたが、後半の足投げのADが大きくなり、危うく場外ラインから出るところを踏ん張った。
D1
D3
D 11.100
E  7.500 タイムペナルティ0.05 計18.550

現在大岩は14位で皆川が15位。

前半1位はロシアのDina Averina。
フープではこれでもかとADを入れ込み、
D1 4.800
D3 8.900
D 13.700
E  8.900 計22.600
ただひとり22点台に乗せた。

ボールはADで落下し、大きく移動して取り戻したが、それでも20点台に乗せている。
D1 5.200
D3 7.700
D 12.900
E 7.800 計20.700

2位はイスラエルのASHRAM。
さすがの安定感で、2種目とも大きなミスをしなかった。
フープ
D1 4.900
D3 7.900
D 12.800
E  8.400 計21.200

ボール
D1 5.100
D3 7.000
D 12.100
E  8.550 計20.600

3位はロシアのArina Averina。
ADの足キャッチで落下。大きく移動して取り戻した。
またRでも落下してしまった。
D1
D3
D 11.500
E  6.450 タイムP0.050 計17.900
フープでは23位という順位である。

ボールは大きなミスは回避し、
D1 5.400
D3 7.700
D 13.100
E  9.000 計22.100
この種目でただひとり22点台に乗せ、一気に3位まで上がった。

4位にウクライナのNIKOLCHNKO、5位にイスラエルのZELIKMAN、6位にベラルーシのSALOS。
ブルガリアのTASEVAとKALEYNは、ボールに落下ミスが出て、TASEVAが7位、KALEYNが19位に甘んじている。
8位にベラルーシのHALKINA。HALKINAもボールに落下ミスが出ている。
地元アゼルバイジャンのAGHAMIROVAはフープでなんと19.800を出し、現在10位。

上位陣はおなじみの顔ぶれであるが、ロシア勢を除いては実力的に大差ない。その日の出来によって、メダルに手が届くか、入賞さえできないかという状況である。
日本の皆川はD3を上げてはいるが、確実に実施できているかどいうとそうではない。構成上組み込まれているものをやり切れるかどうかが今後の上位進出へのカギとなるであろう。
大岩はD1スコアに関しては申し分ない。
あとはミスを少なくしていくことと、動きのつなぎを良くしていくことが課題であろう。

<団体総合前半>
団体は25チーム参加と、今季に入ってから最大の参加数である。
個人競技が12時過ぎに開始され、団体の日本チームが演技したのは、すでに夜の10時を回っていた。
試技順がラストから2番目であったが、キャッチの移動はあるもののバタバタした感じはなく、うまく対処していた。
W杯ソフィア大会終了後、サンクトペテルブルグで合宿を行ったが、1週間という短い期間の中で、D3(連係、R)スコアを約1点上げた。
その成果も出て、
D1 6.000
D3 11.000
D 17.000
E 7.900 計24.900
日本は、ロシア、イタリア、ブルガリア、ウクライナ、ベラルーシ、イスラエルなど強豪、中堅が出そろった中で2位で折り返した。

出場選手
杉本早裕吏
松原梨恵
熨斗谷さくら
鈴木歩佳
竹中七海

1位はロシア。
今季の中では一番バタバタした感じがなかった。1箇所小さな落下があったようだが、観客席からは見えなかった。
D1 5.900
D3 11.900
D 17.800
E 8.250 計26.050

3位はベラルーシ。
移動キャッチや、加点対象となる手具操作をやらない選手がいたりしたが、大きなミスはなかった。
D1 6.300
D3 10.200
D 16.500 
E 8.000 計24.500

4位はウクライナ。
複数投げの足投げで大きく移動。もう一箇所、落下気味のところあり。
D1 5.600
D3 10.700
D 16.300
E 7.750 計24.050

5位にブルガリア。
さほどミスをしていないように見え、迫力もあったと思ったのであるがD3スコアが伸びない。
インクワイヤリが出され、0.2上がったが、D3は9.700にとどまった。
D1 5.600
D3 9.500→9.700
D 15.100
E 8.250 計23.350→23.550

6位にフィンランド
移動キャッチはあるが大きなミスなし。複数投げを多用。
D1 5.500
D3 10.600
D 16.100
E 6.400 計22.500

7位ウズベキスタン
連係で落下はあったが、全体的にスムーズな演技であった。
D1 5.600
D3 10.600
D 16.200
E 6.300 計22.500

8位はイスラエル。死角になったのかミスは見えなかったが、点数を見ると落下ミスがあったようである。
D1 5.500
D3 8.800
D 14.300
E 7.450 計21.750

9位はイタリア。
連係の、ひとりの選手が座の状態で足と頭の下でキャッチする際、落下して場外。差し替えて続けたが、リズムが狂ってしまい、交換でも落下。
D1 5.600
D3 9.000
D 15.200
E  6.750 計21.650

10位に中国。
大きなミスはなかったように見えたが、
D1 5.800
D3 8.200
D 14.000
E  7.550 計21.550

アゼルバイジャンは、トップグループの選手ではないと思われ、落下ミスが続き、15.750で20位。

今日は、見た目の出来と点数がかけ離れている印象があった。
ブルガリアは実施点を8.25取っていることから、会心の出来とは言えなくとも、ミスはさほどしていないことが読み取れる。
それでもD3得点は9.700で、上位陣では一番低い点数となっている。
D1はどの国もさほど差がなく、やはりカギを握るのはD3。
いかに効率よく組み込み、きちんと実施するか。いよいよD3合戦が激しくなってきたようである。

明日は個人総合後半と団体総合後半が行われる。