2022新体操アジア選手権(シニア・ジュニア)大会レポート3

報告者:新体操強化本部長 村田由香里

アジア選手権大会3日目レポート 2022年6月25日

◆シニア3日目
大会3日目はシニア団体種目別フープ5、個人総合決勝が行われた。

●団体 フープ5
・3位 日本(フェアリージャパン POLA)
試技順6番目で登場した日本は、冒頭の連係のタイミングのずれから、しばらくの間リズムを崩し、最初の連続交換まで危なっかしく、なかなか修正出来なかった。その後立て直したが、中盤の連係で落下ミス、最後の複数投げでも大きな移動となってしまい、最初のリズムの崩れがそのまま最後まで響いてしまった形となった。初日の演技が会心の出来であっただけに残念である。
終始乱れた形となり実施点が伸びなかったが、DBでは確実に点数をとれるようになってきており今後につながる結果となった。
D15.3(body 8.1 app7.2) A 7.85 E 6.50 合計29.65

出場選手:鈴木歩佳、竹中七海、稲木李菜子、生野風花、中村知花

2位 ウズペキスタン
複数投げや足投げ交換で大きな移動と落下があったが、連係も難易度が高く、身体難度のフォームも美しく、質の高いチームである。
D13.9(body 6.7 app 7.2) A 7.95 E 7.45 合計29.90

1位 カザフスタン
ウズベキスタンに比べ選手の質はやや劣るが、フェアリージャパンPOLAの指導にあたっていたインナ氏をコーチに迎え、実力をつけてきている。移動が数ヶ所あり、少しバタバタした印象ではあったが、落下ミスは防ぎ、この種目で金メダルを獲得した。
D14.3(body 6.3 app 8.0) A 8.05 E 7.65 合計30.00

明日は団体総合でミスの出たアンサンブルの種目である。今日の出来により2種目を並べるという目標は達成できなかったが、最後まで諦めず自分たちの演技をやり切ることに集中してほしい。

●個人総合
・2位 喜田純鈴
フープD14.0(body 8.2 app 5.8) A 8.45 E 8.45 合計30.90
ボールD14.0(body 8.1 app 5.9 )A 8.30 E 8.00 合計30.30
クラブD13.2(body 8.2 app 5.0 )A 8.45 E 8.30 合計29.95
リボンD13.7(body 8.5 app 5.2) A 8.50 E 8.20 合計30.40
個人総合は国別対抗でのベスト3種目の合計点で上位18名の選手が決勝に進んだ。喜田純鈴選手はボールのラスト、リスクでの手以外視野外のキャッチで落下ミスが出たが、全体を通して素晴らしい出来であった。転がしの軌道やリスクの投げの軌道がずれても、素早く反応し危なげなくミスを防いだ。身体難度のフォームも良く、表情にも自信があふれ、大きさのある伸びやかな演技であった。3種目、4種目めで疲れや集中力の低下から大きなミスが出る選手が続出する中、最後まで集中力を切らさず、自分らしく演じ切った喜田純鈴選手に拍手を送りたい。

・8位 喜田未来乃
フープD11.7(body 7.1 app 4.6 )A 7.70 E 7.25 合計26.65
ボールD13.1(body 7.7 app 5.4) A 8.00 E 8.10 合計29.15
クラブD12.6(body 7.7 app 4.9) A 8.05 E 8.05 合計28.70
リボンD12.5(body 8.2 app 4.3) A 7.55 E 7.65 合計27.70
未来乃選手も身体難度のフォームは国別対抗の時より良くなり、落下ミスはフープのラスト、寝て背中を転がしながらのキャッチのみであった。クラブではパンシェターンでバランスを崩し、手具操作が出来ずに終わってしまうミスが出たが、目立ったミスはその2つだけで、最後まで集中してよくやれていたと思う。まだまだ動きが途切れたり、手具操作が怪しい部分はあるが、1日1日成長が感じられる。少し表情が乏しいので、明日の種目別決勝ではエネルギーのある動き・表情で演じ切ってほしい。

1位 Ikromova Takhmina(ウズベキスタン)
4種目目のリボンのラストで場外に投げ、手具なしで終了するという大きなミスが出たが、コンスタントに31点代に乗せ、全種目でトップの得点となった。持ち味は6~7回転を誇るルルベでのパシェターンである。手具操作も丁寧で淀みがなく、素晴らしい技術を持った選手である。

3位 Zhao Yue(中国)
こちらも身体能力の高い選手である。リボンで大きなミスが出たが、フープでDBの得点を10点に乗せるなど、前半種目手の貯金が効いて3位入賞となった。身体難度は特に明確で、動きもパワフルでエネルギッシュな選手である。

5位までは非常に僅差で、最後までメダルの行方はわからないという緊迫した戦いであった。明日の種目別決勝には、喜田純鈴選手全種目、喜田未来乃選手はフープ、ボール、クラブの3種目に出場する。

◆ジュニア3日目

大会3日目はジュニア団体種目別ロープ5、個人総合種目別決勝が行われた。

●団体種目別 ロープ5
1位 カザフスタン
練習の時から一つひとつの動きにこだわり、曲のニュアンスを大切にしていただけあって、2分30秒次々と展開していく内容に工夫が見られた。ジュニアであっても、既に“カザフスタンらしさ”が見える演技力で一位を獲得した。
D10.4(body 5.4 app 5.0) A 7.85 E 7.3 合計25.55

2位 日本
複数投げを伴うCRにて投げが大きくなり、上手くカバーし落下は防いだものの、連係が不成立となってしまう場面があった。それまでの演技は大変落ち着きがあり、一つひとつの内容が明確に実施出来ていただけに残念であった。
明日の種目別では、心から楽しめたと言える演技をやり切ってほしい。
D8.6(body 4.6 app 4.0) A 7.35 E 6.85 合計22.80

出場選手:初根鈴乃、中村心結、中村明里、庄司遥、田邊胡桃

●個人種目別
国別対抗の時同様、メダルはカザフスタン、ウズベキスタンが占める形となった。

・岡田華英 フープ
練習の時よりも体の動きが良く伸びやかに演技出来ていたが、終盤の転がしDAにおいてやや乱れたことにより動揺が走ったように見えた。
ラスト3回前転のRにて、投げはよかったものの2回転にとどめる判断をし無難にまとめた。
D7.9(body 5.4 app 2.5) A 7.6 E 8.0 合計23.50

・馬場せせら ボール
スタート転がし受けのDAにて、ボールと体とのタイミングが合わず−1.0の落下、その後曲に遅れ後屈ジャンプを実施出来なかった。長い手足を生かした動きは見栄えがするが、今後抑揚をつけるためには上半身を滑らかに動かすことも課題である。
D8.8(body 4.8 app 4.0) A 7.80 E 7.55 合計24.15

両選手とも、今後沢山の試合をこなし試合で挑戦し切る強い気持ちを備えることが課題である。

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