SASAKICUP新体操ユース 男子個人レポート

報告者:日本体操協会 男子新体操委員会

本日から第21回全日本新体操ユースチャンピオンシップが東京体育館にて開催された。大会初日は個人予選で88名の選手が明日の決勝に向けた熱い戦いが繰り広げられる。また、上位6名には全日本選手権の出場権も与えられる。

≪個人予選 1位 33.825≫山本響士朗(高田高校)
スティック 16.975
2022年全日本ジュニア最終種目まで、圧倒的優位な差でトップに立っていた山本。しかし、最終種目で悲劇的な幕切れで4位に甘んじた。高校生になり迎えた今大会、一種目目はスティックから。高校生になり体も出来上がり重量感を増した表現で見事に演じ切る。演技も終始途切れることなく演じきり、今大会最高得点の16.975を叩き出す。

クラブ 16.850
全日本選手権2連覇中の王者堀の演技を完全にものにして見事に演じ切った。流れのある演技の中にちりばめられている多彩な投げ受けとタンブリングも確実にこなし高得点を獲得する。

≪個人予選 2位 32.975≫田中千紗仁(大垣共立銀行OKB体操クラブ)
スティック 16.775
高校選抜王者田中。選抜で安定した演技で優勝を勝ち取ったがその真価が期待される一種目目。細い体からは想像できない重厚感ある徒手と、美しい体の線を武器に優雅に演じる姿はその対比をうまく表現している。投げ受けで危ない場面もあったがノーミスで次につなげる

クラブ 16.200
選抜王者の貫禄を見せてくれた。スティックでは少し緊張感のある一本になってしまったが、冒頭のタンブリングこそ少し実施ミスがあったものの、難度の高い投げ技と流れのある徒手で演じ切る。
明日の決勝ではどのような演技を見せてくれるか楽しみにさせる一本であった。

≪個人予選32.500 3位≫長瀬羚(大垣共立銀行OKB体操クラブ)
スティック 16.225
同チームに所属する高校選抜チャンピオン田中を東海大会で破りインターハイに駒を進めた勢いのある長瀬。今大会ではスティックからの登場。激しいメロディに乗せてスピード感とキレのある動きを見せる。冒頭の2回半もしっかりと決めハイレベルな内容をこなしていく。演技終盤には余裕の笑みを浮かべる場面も。勢いのある演技でノーミス。

クラブ 16.275
他の選手が2種目目で崩れる中、ギアを一段上げてきた。冒頭の2回半からの3連続タンブで流れに乗り、難しい回転の投げ受けもしっかりとキャッチ。最後まで集中力のある演技でノーミスをつかみ取る。

≪個人予選 4位 32.375≫村山颯(国士舘中学/国士舘ジュニアRG)
クラブ 15.900
昨年度全日本ジュニア第2位。体は小さいがタンブリング、表現力共に高校生たちにひけをとらない実力を持っている。序盤からその力を惜しみなく発揮しジュニア離れした表現力を見せつける。2本投げで惜しい落下はあったがその実力を見せてくれた。

スティック 16.475
完璧な一本を見せてくれた。ジュニアであることを忘れさせてくれる素晴らしい内容だった。村山の魅力がつまった1分半。得点も16.475を叩き出し堂々の決勝進出だ。

≪個人予選 5位 32.275≫神山貴臣(青森山田高校)
クラブ 15.975
高校選抜3位の実力を見せてくれた。多彩な手具捌きと難度の高い投げ技を次々にこなしていく。あわや大きなミスに繋がる場面もあったが、持ち前の本番強さを発揮し抑えきる。ラストポーズ直前にもったいない場外減点が課されたが15.975と上位を狙える位置につける。

スティック 16.300
彼の演技は他の選手よりもコマ数が多く感じる。それほどスピード感と内容に満ちた一本であった。演技後は本人も納得のガッツポーズ。明日も楽しみだ。

≪個人予選 6位 32.225≫木下直生(芦北高校)
スティック 16.200
高校選抜で5位に入賞し全日本選手権への出場権もすでに得ている木下。高いタンブリング力を武器に落ち着いた演技でノーミス。上位入賞も狙える位置につけた。

クラブ 16.025
大きな体を武器に迫力のある演技を披露した。力強くノーミスを勝ち取り明日の決勝で更なる高みを目指す。

≪個人予選 7位 32.175≫村山涼(国士舘高校)
スティック 16.450
決して大きな体とは言えないが、目いっぱい動き落ち着いた演技を披露してくれた。タンブリング、投げ上げにも余裕が見え安定したノーミスで自身初の16点を超える得点を獲得した。

クラブ 15.725
冒頭の背面2本投げで片方を落下してしまったが、落ち着いて対応。その後の演技ではミスの影響を感じさせない大きな動きを見せてくれた。得点も15点台に踏みとどまり決勝進出。

≪個人予選 8位 32.025≫譽士太陽向(青森山田高校)
クラブ 16.125
高い柔軟性を活かして他の選手が真似できない可動範囲を使いながら独創的に演じていく。タンブリング、投げ技も落ち着いて決めるノーミスの演技。

スティック 15.900
演技冒頭のポーズは柔軟性を活かした形で観客席をざわつかせる。その後の前宙投げであわや場外かと危なかったが何とかキャッチ。その後はそつなくこなした。

≪個人予選 8位 32.025≫髙山蓮音(香川県立坂出工業高等学校)
クラブ 16.000
冒頭の2回半からの連続技を完璧に決め流れに乗る。独特な世界観と髙山の表現力が融合した濃密な1分半を見事に演じ切った。これまでも力はあった流れにのれず噛み合わない試合を多く見てきたが、観客も満足のできる一本であった。

スティック 16.025
この種目でも髙山らしさを見せてくれた。ゆったりとした曲にのせて緩急のある演技を披露した。この種目でも16点台を獲得し堂々の決勝進出。

≪個人予選 10位 31.925≫谷口央弥(丹後緑風高校)
スティック 16.725
大きく雄大な徒手が魅力の谷口は、緊張感漂う一種目目で圧巻の演技を披露した。余裕のあるタンブリングと、安定した投げ技も融合された演技と、会場の一体感も相まって素晴らしいノーミスの演技であった。

クラブ 15.200
ポップな音楽に合わせて軽快なスタートを切ったかのように見えたが、少し力みがあったのか投げ受けでバランスを崩し落下。その後は立て直したもののリズムは微妙にずれてしまった。明日の決勝での巻き返しに期待したい。

≪個人予選 11位 31.525≫東 凰雅(鹿児島実業高校)
クラブ 15.650
全日本ジュニア優勝経験もある東。クラブではゆったりとしたメロディに乗せて柔らかに演じる新たな一面を見せてくれた。正確なタンブリングを武器に最後まで集中した演技でノーミス。

スティック 15.875
スピード感のある演技の中に突如現れるゆったりとした「間」が心地よく感じることができた演技であった。緩急を織り交ぜ演じ切り明日の決勝へと駒を進めた。

≪個人予選 12位 30.650≫青木涼多朗(大垣共立銀行OKB体操クラブ)
スティック 15.350
長い手足を活かし多彩な技を決めていく。途中投げ上げでキャッチ位置がずれたが落ち着いて対応し、大きな減点を逃れる。練習の成果が垣間見える瞬間だ。緊張感のある演技であったがノーミスで次の種目につなげる。

クラブ 15.300
冒頭の3連続タンブリングを決めて流れに乗る。前宙投げで少しずれたが最小欠点に留める。最後まで演技の勢い衰えることなく演じ切り明日の決勝へと向かう。

≪個人予選 13位 30.375≫谷津敬直(宮城県名取高校)
スティック 15.050
冒頭の落下場外はもったいなかったが、その後立て直した。大きな体で情緒豊かな流れるような徒手が持ち味だ。ここからの巻き返しで上位入賞を目指したい。

クラブ 15.325
スティックでのミスを挽回したいところだったが、この種目でももったいないミスが出てしまった。しかし、谷津の持ち味である胸を大きく張り出した動きで演技にアクセントをつけ印象付けることはできた。明日の決勝では会心の演技を期待したい。

≪個人予選 13位 30.375≫丸山一休(大垣共立銀行OKB体操クラブ)
スティック 15.600
早い試技順で登場した2022年度全日本ジュニア個人総合王者丸山は、成長した体躯を駆使しジュニア離れしたタンブリングと投げ技を完璧に決め、まだ温まり切っていない会場で躍動的に演技した。

クラブ 14.775
スティックの勢いそのまま演じ切りたかったが、冒頭タンブリングの助走の際に手具をハンブル。落下こそ免れたがタンブリングの内容をかえざるを得ない対応になってしまった。その後も連続投げでも落下があり悔しい演技となった

≪個人予選 15位 29.925≫関戸銀児(高田高校)
スティック 15.150
表情も演技の一つの武器であると感じられる演技であった。動きの表現もさることながら、演技中に変化する表情には目を奪われる場面も。ノーミスで演じきる。

クラブ 14.775
この演技では実に楽しそうに演じていたのが印象的だった。努力に裏打ちされた自身の満ちた表情でフロアに立っている時間を楽しんでいるようだった。この勢いで明日の決勝でも上位を目指す。

≪個人予選 16位 29.150≫矢島優聖(青森山田高校)
クラブ 14.900
冒頭の2回半から繋いだタンブリングを完璧に決め流れに乗る。落ち着いた雰囲気で演じるその姿には危なげを感じなかった。気持ちの良いノーミスで次の種目につなげる。

スティック 14.250
情緒ある音楽に気持ちをのせて演じていたが、途中の前宙投げで後ろに投げてしまう。前宙をやめて緊急回避するが大きな減点に繋がる。決勝のかかった一本だっただけにもったいなかった。しかし得点は14点台に踏みとどまり決勝進出。

≪個人予選 17位 29.050≫齋藤悠杜(宮城県名取高校)
スティック 15.150
雄大な動きとダイナミックなタンブリングで観客を魅了した。指先まで意識を集中させてノーミスの演技を披露した

クラブ 13.900
演技序盤は落ち着いてこなしていたが、後半に差しかかった投げ受けで惜しくも落下。その後少しリズムが乱れてしまう悔しい内容になってしまった。明日の巻き返しに期待したい。

≪個人予選 18位 28.975≫島田倫太朗(阿久比新体操クラブ)
クラブ 15.025
細い体の線ではあるが力強い動きでグイグイと押してくる。個性的なタンブリングも演技の良いアクセントになっていた。ノーミスで演じ切る。

スティック 13.950
よく体の動く選手である。長さ約90㎝スティックをまるで柔らかいものかのように体とスティックを融合した動きを見せてくれる。投げ受けの危ない場面でもしっかりと対応し最後まで集中力を切らさず演じ切った。

≪個人予選 19位 28.900≫吉村瞭汰(福岡舞鶴高校)
スティック 14.600
多彩な動きと投げ技を決めてノーミス。

クラブ 14.300
春よこいのメロディに合わせて気持ちを込め演じる。落下無しの演技で明日につなげた

≪個人予選 20位 28.525≫中澤陸(シンドバッド新体操クラブ)
クラブ 14.275
返事をする前にフロアサイドに立つ第一印象はおそらく「小さくてかわいい」だろう。しかし、ひとたび演技が始まればその評価は一変する。その幼さからは想像できないほどの大きな動きと多彩な投げ技を決めていく。集中力を切らすことなく演じ切る。

スティック 14.250
彼にはつくづく驚かされる。このスティックでもノーミスで演じ切ってくれた。決して簡単な内容ではないが高い実施力で確実に演じてくる。この小柄な選手が明日の決勝ではどんな演技を見せてくれるか楽しみだ。

明日の決勝に進出する上位20名が決定した。
各選手の満足できる一本を期待したい。

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