SASAKICUP新体操ユース 男子個人レポート2

報告者:日本体操協会 男子新体操委員会

第21回全日本新体操ユースチャンピオンシップ2日目は、予選を勝ち上がった上位20名による個人決勝競技が開催される。

予選トップに立ったのは、山本響士朗(高田高校)だ。前半2種目を完璧な演技で2位に0.85点差のリードをもって折り返す。その山本の背中を追いかけるのが、2022年度高校選抜王者の田中千紗仁(大垣共立銀行OKB体操クラブ)。
予選では2種目とも完璧な演技とは言えなかったが、この位置につけているのはさすがだ。
3位には長瀬羚(大垣共立銀行OKB体操クラブ)、4位には中学3年生のジュニア選手、村山颯(国士舘中学/国士舘ジュニアRG)も虎視眈々と上位を狙っている。
今大会の決勝進出者通過ラインは28.525。昨年の通過ラインが27.450だったことを踏まえても1点以上あがっている。今回のユース決勝は過去最高の激戦になる予感がする!

(決勝のレポートは試技順通りに掲載いたします)

≪個人予選 19位 28.900≫吉村瞭汰(福岡舞鶴高校)
リング 14.200
トップバッターとして登場した吉村。高さのあるタンブリングを武器に、はつらつと演じる。緊張感のある演技であったがノーミスで終える

≪個人予選 20位 28.525≫中澤陸(シンドバッド新体操クラブ)
ロープ 13.350
この選手はいったいどれ程のポテンシャルを秘めているのだろう。緊張感のある一種目目。特にロープはミスの多い種目であるがここでも中澤は決めてみせた。難しい投げ受けもしっかりと処理し最後まで流れを切らすことなく演じ切りノーミス。

≪個人予選 17位 29.050≫齋藤悠杜(宮城県名取高校)
リング 12.700
流れのよい滑り出しに見えたが、中盤に差しかかるところで片方のリングが抜けてしまい落下。その後のタンブリングも行うことができず大きな減点を課されてしまう。しかし、流れのある徒手と動きの大きなこの種目でも健在だった。最終種目に期待したい。

≪個人予選 18位 28.975≫島田倫太朗(阿久比新体操クラブ)
ロープ 12.350
序盤は丁寧に一つずつ手具操作を行いロープのたるみが殆どないように感じた。しかし中盤の投げ上げの際にロープの片端が抜けてしまい投げることができなかった。つくづくこの種目の難しさを感じる結果となる。

≪個人予選 15位 29.925≫関戸銀児(高田高校)
リング 14.150
決勝の舞台でも関戸劇場は健在だった。表情に表れているように彼は新体操を心から楽しんでいるように感じる。リングでも難度の高い技を確実にこなしていく。流れが途切れることなくノーミスで演じる。

≪個人予選 16位 29.150≫矢島優聖(青森山田高校)
ロープ 13.225
出来ることを確実に実施する。彼の演技はそう感じさせる。ここ数年はルール改正により個人の加点が多くなった。そのため各選手は加点を求めて演技の中に難しい投げ受けを入れるが、実施が伴わなければ加点以上の減点がされる。矢島は自身のできることを確実に行っている印象だ。

≪個人予選 13位 30.375≫谷津敬直(宮城県名取高校)
リング
雄大さを感じる演技だった。予選ではミスもあり不本意な結果であったに違いないが、リングでは谷津の持ち味を活かした大きな徒手を武器に最後まで集中力を切らさず通しきった。

≪個人予選 13位 30.375≫丸山一休(大垣共立銀行OKB体操クラブ)
ロープ
多才である。丸山はその手具操作能力に加え、タンブリングや投げ技でもハイレベルな技術を有している。このロープでも見せてくれた。多少のミスはあったものの、ジュニアとは思えない堂々とした演技だった。

≪個人予選 11位 31.525≫東 凰雅(鹿児島実業高校)
リング 15.025
スピード感ある演技で最初から最後まで走り切った。キレのある徒手と小気味よい間を融合させることができるのが魅力だ。最終種目でものその疾走感に期待したい

≪個人予選 12位 30.650≫青木涼多朗(大垣共立銀行OKB体操クラブ)
ロープ 14.125
線は細いが確かな技術力でそれを補う。アップテンポな音楽に合わせて軽快に演じる。一瞬の油断も許されないが、確実に一つずつこなしていく。少しロープがゆがむ瞬間もあったが最後まで走り抜けた。

≪個人予選 8位 32.025≫譽士太陽向(青森山田高校)
リング 14.675
一人抜けた柔軟性を武器にこのリングでも可動範囲を大きく動かかす徒手で会場を沸かせた。手具操作と融合した体の動きは好印象を与える。ラストタンブリング前の落下はもったいなかった。

≪個人予選 10位 31.925≫谷口央弥(丹後緑風高校)
ロープ 13.050
「基礎は大切」この選手を見るといつもこのフレーズが頭に浮かぶ。丁寧な手具操作と徒手で中盤までは問題なく演じていたが、突如崩れてしまった。やはりロープは難しい種目であると痛感させられた演技であった。

≪個人予選 7位 32.175≫村山涼(国士舘高校)
リング 15.925
丁寧な手具操作で体を大きく動かして最後まで演じ切った。最後のポーズで少しリングが抜けてしまったが大きな減点にはつながらない。昨日の好調を維持し最後まで集中してもらいたい。

≪個人予選 8位 32.025≫髙山蓮音(香川県立坂出工業高等学校)
ロープ 15.050
独特な曲調に合わせて髙山の世界観が展開される。丁寧に投げ、タンブ、手具操作をこなし通しきることが難しいロープで見事ノーミス。ここまでの中でロープの最高点15点台にのせた。

≪個人予選 5位 32.275≫神山貴臣(青森山田高校)
リング 14.100
技術力が高い印象はやはりこの種目でも同様だった。しかし、その技術力の高さが仇になったか、冒頭の何気ない手具操作ですっぽ抜けて落下してしまう。その後もリズムがズレたままで終わってしまった。最終種目に期待したい。

≪個人予選 6位 32.225≫木下直生(芦北高校)
ロープ 14.075
やはりロープは難しい。木下の持ち味であるタンブリング力を見せたかったが、第一タンブリング前に体にロープが絡まりリズムが崩れてしまう。そのまま、2回半まではつなげたが着地で姿勢が乱れる。クラブでは思い切った演技が見たい。

≪個人予選 3位 32.500≫長瀬羚(大垣共立銀行OKB体操クラブ)
リング 16.325
本番に強い!長瀬はどの種目でも自身に満ち溢れてる。少しぐらいのズレはものともしない。この種目でも完璧に演じ切った。最終種目で更に高みを目指す。

≪個人予選 4位 32.375≫村山颯(国士舘中学/国士舘ジュニアRG)
ロープ 14.450
スーパージュニア村山といえどロープはやはり手ごわい。丁寧に一つずつ演じてはいたが丁寧さが仇になったか、ロープのスピードが足らず少しぶれてしまう状態が見えた。最終種目は気持ちよく決めてもらいたい。

≪個人予選 1位 33.825≫山本響士朗(高田高校)
リング 16.725
本当に一年前までジュニア選手だったのか目を疑う。決して簡単なことをやっているわけではないが、その確実なる実施力に陰りは見えない。このまま最終種目まで駆け抜けるのか?

≪個人予選 2位 32.975≫田中千紗仁(大垣共立銀行OKB体操クラブ)
ロープ 14.600
三味線のノリに合わせて軽快に演じ始めたが、少し手元の狂いがあったか。ロープの片方を離してしまい途中演技が一瞬止まってしまう。山本の背中を追いかけたいがその差が開いてしまった。

前半終了が終了した。山本が独走態勢に入っているが勝負は最終種目までわからない。特に山本は昨年の全日本ジュニア最終種目ロープで大きなミスがあり、あと一歩のところで優勝を逃している。そして今大会も最終種目はロープ。しかも最終演技者という更に緊張感のかかる状況だ。どのような結末が待っているかわからないが最後まで目が離せない展開であることは間違いない。

≪三種目暫定順位 18位 41.875≫中澤陸(シンドバッド新体操クラブ)
リング 13.550
初出場のユースであったが衝撃的なデビューだった。結果は最終種目もノーミスで4種目落下無しで終了した。今後の成長が大いに期待される選手だ。是非注目してもらいたい。

合計55.425

≪三種目暫定順位 16位 43.100≫吉村瞭汰(福岡舞鶴高校)
ロープ 12.550
このロープでは2度の落下が出てしまった。しかし、今大会で決勝を経験できたことは吉村にとって大きいはずである。次の大会を期待したい。

合計55.650

≪三種目暫定順位 20位 41.325≫島田倫太朗(阿久比新体操クラブ)
リング 14.375
ロープでミスが出てしまい順位を落としプレッシャーがかかる最終種目。島田の持ち味である流れのある情緒豊かな動きを武器にノーミスで締めくくった。

合計55.700

≪三種目暫定順位 19位 41.750≫齋藤悠杜(宮城県名取高校)
ロープ 13.250
流れは途切れることなく最後まで演じることはできたが、少し手元で手具がバタついてしまった。しかし大きな体を使った流れある徒手はここでも健在であった。

合計55.000

≪三種目暫定順位 17位 42.375≫矢島優聖(青森山田高校)
リング 14.200
気合の入った返事と共にフロアに立ち、覚悟を決めて臨んだ最終種目。自身の持てる力は全て出せたのではないであろうか。ノーミスで締めた。

合計56.575

≪三種目暫定順位 15位 44.075≫関戸銀児(高田高校)
ロープ 13.875
最後まで彼は楽しそうだった。各選手がロープで崩れる中、確実な実施力を武器に最後まで集中した演技を見せてくれた。また、彼の表情豊かな演技を次の舞台でみたいと感じる選手であった。

合計57.950

≪三種目暫定順位 14位 44.625≫丸山一休(大垣共立銀行OKB体操クラブ)
リング 15.725
リングが得意。そんな声が聞こえるほど落ち着いて余裕をもって演じてくれた。ロープではミスもあったが、しっかりと取り返すことができるのが強みであろう。今年の全日本ジュニアも楽しみだ。

合計60.350

≪三種目暫定順位 11位 45.500≫谷津敬直(宮城県名取高校)
ロープ 14.100
後半で巻き返した。このロープでも多少の揺らぎはあったものの、最後までまとめた。できることは全てやった。後は他の選手の結果待ちだ。

合計59.60

≪三種目暫定順位 13位 44.775≫青木涼多朗(大垣共立銀行OKB体操クラブ)
リング 14.750
やり切ったのではないであろうか。投げも確実に決め最後は笑顔で終れたいい演技であった。

合計59.525

≪三種目暫定順位 8位 46.550≫東 凰雅(鹿児島実業高校)
ロープ 14.425
スピード感あふれる演技で最後まで走り抜けた。しかし、今大会で完璧にはまったと思える演技はなかったかもしれない。しかし、東のもつポテンシャルは十分に示すことができた大会となった。

合計60.975

≪三種目暫定順位 12位 44.975≫谷口央弥(丹後緑風高校)
リング 16.350
これまでのフラストレーションを一気に爆発した感じだ。最後は自身も納得の演技であった。谷口のもつ動きも随所に輝き、見ている者たちも満足の一本であった。

合計61.325

≪三種目暫定順位 7位 46.700≫譽士太陽向(青森山田高校)
ロープ 15.575
勝負のかかる一本を見事ノーミスで締めくくった。ロープでこの演技ができたことは大きい。縄の緩みもほとんど見られず、投げ受けも確実にこなした。他の選手の結果を待つことになった。

合計62.275

≪三種目暫定順位 5位 47.075≫髙山蓮音(香川県立坂出工業高等学校)
リング 14.950
2本投げで惜しい落下があったが、髙山の世界観は崩れることはなかった。今大会で自身の課題であったタンブリングもしっかり決めていた。今後にも期待したい。

合計62.025

≪三種目暫定順位 3位 48.100≫村山涼(国士舘高校)
ロープ 13.200
全日本への出場権とメダルがかかった一本。そんなプレッシャーが押しかかったか。精彩を欠く演技になってしまった。ミスは悔やまれるが成長を感じることができた大会であった。

合計61.300

≪三種目暫定順位 10位 46.300≫木下直生(芦北高校)
リング 14.175
後半2種目は、はまらなかった。リングでも手具が手につかない場面が見られた。昨日の前半の勢いそのままで繋げることは出来なかったが既に選抜で全日本出場権は獲得しているので是非そこで更なる進化を見せてほしい。

合計60.475

≪三種目暫定順位 9位 46.375≫神山貴臣(青森山田高校)
ロープ 13.000
勢いのある曲にのせてスタートし、軽快に演じていたが途中ロープをノータッチ落下。ラストもロープを場外に弾き飛ばしてしまった。今大会は苦い幕切れになってしまったが、今後の活躍を期待したい。

合計59.375

≪三種目暫定順位 6位 46.825≫村山颯(国士舘中学/国士舘ジュニアRG)
リング 15.575
気持ちよく全日本出場権を勝ち取りたかった。しかし、そんなに甘くはなかった。リングの2本投げで片方を落下したがすぐに対応し大きな減点は免れる。得点は15.575であったため全日本通過は決定したが今後は更に成長した姿を見せてほしい

合計62.400

≪三種目暫定順位 2位 48.825≫長瀬羚(大垣共立銀行OKB体操クラブ)
ロープ 14.825
冒頭の胸後反でまさかの絡まりを見せてしまったがその後は立て直した流石の演技で締めくくった。

合計63.650

≪三種目暫定順位 4位 47.575≫田中千紗仁(大垣共立銀行OKB体操クラブ)
リング 16.200
最後までやり切った。プレッシャーをはねのけ自身のユースを締めくくった素晴らしい一本であった。インターハイ、全日本選手権での活躍も期待したい。

合計63.775

≪三種目暫定順位 1位 50.550≫山本響士朗(高田高校)
ロープ 15.750
過去の自分を乗り越えるチャンスを与えられた山本。優勝のかかる大切な一本。ここまで3種目でノーミス。そしてそのすべての種目でトップ。昨年の全日本ジュニアでは掴み取ることができなかった栄冠が目の前にある。最高の集中力をもって臨んだ舞台に立つ。
曲が始まり山本が動き出す。力強く手具に自分のエネルギーを伝え体の一部として操作していく。おそらくトラウマもあったであろう、しかし山本は最後まで集中力を切らすことなく演じ切った。結果はノーミス。本人からもガッツポーズが飛び出す会心の演技。得点が出て優勝が確定した。ロープでも優勝の完全優勝だ。

合計66.300

2日間の激闘が終わった。結果としては山本響士朗(高田高校)の4種目完全制覇優勝。
2位は田中千紗仁(大垣共立銀行OKB体操クラブ)、3位は長瀬羚(大垣共立銀行OKB体操クラブ)であった。

大会結果はこちら