新体操W杯イタリア大会レポート3

報告者:

4月13日、W杯ペサロ大会最終日は、団体種目別決勝と、個人種目別決勝が行われた。

<団体種目別決勝・クラブ>
試技順1番に登場したのはベラルーシ。DERの落下や不正確なキャッチがあり、17.250。

試技順2番はブルガリア。前半好調にきていたが、ラスト近くの連係で落下。ポーズをとったときにクラブがわずかに場外し、16.650。

強豪の一角が崩れたことで、メダルのチャンスも出てきた。続いて日本が登場。リスボン大会からの疲れが出てきているようで、投げが少々不安定になる。それでもなんとか落下ミスだけはしないように踏ん張り、17.150。メダルの可能性を残して、クラブを終えた。

試技順4番はアゼルバイジャン。リズムに乗せてステップを踏み、軽快な演技を行っていたが、DERで落下。16.650

総合5位のイスラエルが登場。パンシェターンでひとり崩れたが、落下はなく、17.200。この時点で日本は3位となり、イタリアが大きなミスをしない限り、メダルは手にできなくなった。

次はウクライナ。キャッチに移動があったものの落下はない。しかし16.950で、日本はいぜん3位。

そして地元の大きな声援を受けてイタリアが登場。DERでの落下やキャッチの移動も多く、パンシェターンでも崩れたが、17.550。クラブでの日本のメダル獲得はなくなり、あとはリスボン大会で金メダルを獲ったボール&リボンの出来を待つばかりとなった。

<団体種目別決勝・ボール&リボン>
試技順1番はまたしてもベラルーシ。交換でのキャッチの移動がありながらも前半はなんとかおさえていたが、ラストの連係でボールを落下。16.800。ベラルーシは団体同時性が売りのはずであるが、メンバーが大きく変更された影響か、同時性に欠ける場面が多かった。

2番はイタリア。リボンとリボンが少々触れる場面はあったが、全体的には凝った連係を次々とこなしており、見応えのある内容であった。17.400

3番目はアゼルバイジャン。日本と同じくスローな曲を使い、安定感を誇っているが、珍しくDERで落下。交換でのキャッチの移動やパンシェの崩れなどがあり、16.150。

4番目はギリシャ。ほぼミスのない演技であったが、動きの堅さがあり、16.400。

5番目に日本が登場。緑と白のレオタードを着た選手たちが入場してくると、会場からほ~ぅというため息がもれる。そしてフランク・シナトラの歌声にのせて、流れるような演技をしていく。昨日ミスをした箇所も修正して、ラストの見せ場、ボールがリボンによって高く投げ上げられると、会場からは大きな拍手がわいた。ラストポーズを終え、会場のあたたかな拍手に包まれている選手たちは、高揚感とやりきれた喜びを素直に表現して、観客に向けて手を振り続けた。17.200は、イタリアについで2位に位置。しかし、まだウクライナ、ブルガリア、イスラエルが控えており、まだまだメダルが遠い。

6番目はウクライナ。大きなミスはなかったがキャッチに移動があり、16.450。

7番目はブルガリア。むずかしい連係や交換を次々とこなし、総合の日と同様迫力のある演技をしていく。交換にもほとんど移動がなく、またメダルが遠のいたかと思った瞬間、ラストの連係で落下。
17.050で、日本はこの時点でメダルが確定した。

ラストはイスラエル。大きなミスも移動もなく、日本をわずかに上回った。17.250。

結果、日本はクラブで4位、ボール&リボンで3位となった。クラブの3位イスラエルとの差は0.05。ボール&リボンの2位イスラエルとの差も0.05。
いずれも僅差ではあったが、なんにせよメダルを獲得できたということが重要である。

3月中旬にボール&リボンの伴奏音楽を変更し、そこから2週間、音楽をつかむことに必死であった。スローな曲、しかも少々大人びた曲が彼女たちに合っているのか、この曲と作品をどう評価してもらえるのか、まったくわからない中、リスボン大会に出場した。そしてリスボン大会では思いの外、高い評価を得て、8ヵ国中ではあったがスペインを破り、金メダルを獲得。ペサロ大会では19ヵ国の参加、強豪が出そろった大会のため、この大会での実績がほしいところであったが、選手たちは見事にやりきり、ブルガリアやベラルーシを破ってのメダル獲得となった。多数の審判員からも、とても美しいというお褒めの言葉をいただき、結果として伴奏音楽の変更は吉と出たと言えよう。

そしてここからが勝負である。メダル争いは17点台の戦いである。現在、17点台に乗せられる国は、ロシア、イタリア、ベラルーシ、スペイン、イスラエル、ブルガリア、アゼルバイジャン、ウクライナ、そして日本か。日本は少々のもたつきがあっても落下がなければ17点には乗せられるようになった。これはリスボン、ペサロを通して大きな収穫である。これから17点中盤を狙い、上位を倒すには、絶対にミスをしないこと。そしてひとつひとつのエレメントを大切にしていくこと。もっともっとエネルギーのある演技をすること、、、、etc

細かいことをいえばきりはないが、いまは4試技を落下なしで乗り切り、メダルをつかみ取った選手たちに大きな拍手を送りたい。

山﨑浩子

大会情報結果