新体操W杯ウズベキスタン大会レポート2

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5月23日新体操W杯ウズベキスタン大会(タシケント)2日めは、個人総合後半(クラブ、リボン)と、団体総合後半(ボール&リボン)が行われた。

<個人総合後半>
先に登場した早川は、クラブの種目から。出だしのMGキックのままトゥールする難度は不安定となった。しかし、アチチュードのローテーションは難度の終末までしっかりと粘ることができた。直後の転回をしながらのDERでは、最初に投げた方のクラブを落下。パンシェのローテーションもスムースに行かず、良いところと悪いところが出た演技となった。15.700
最終種目のリボンでは、落ち着いた演技を見せた。ところどころリボンの描きが弱くなってしまう場面はあったが、最後までこらえて、16.700。両種目とも伴奏音楽のボリュームやテンポと動きのボリュームやテンポが合っていない箇所があり、そういったところは改善が必要であろう。

後半のグループに登場した皆川夏穂は、クラブの種目から。ペサロ大会までは足持ちのローテーションが不安定だったが、今大会は体軸の乗りが良くなり、難度に安定感が出てきた。難しい技である、ジャンプしながら1本のクラブをももで突き、1本を投げ上げる技で、2本のクラブが開いてしまったが、落ち着いて処理し、17.000。
リボンではアチチュードのローテーションが甘くなったが、そのほかの難度は持ちこたえて、こちらも17.000。17点台が、驚きではなくなってきたところに、成長が感じられる。

早川はボールで、皆川はクラブとリボンでファイナルに出場することになり、2人そろってのファイナル出場は初めてのことである。ミスなくやることでファイナルにも残れるようになってきて、ファイナルに残れば名前を覚えてもらえるということで、少しずつではあるが、形が見えてきた。

総合チャンピオンはロシアのMamun。リボンではボールと同様、スティックが身体のあらゆる面を這い、しかもリボンが生きているという、すばらしい演技であった。凜とした強さが感じられ、いま乗りに乗っていると言えよう。18.650。
クラブでもほぼ完璧な演技を見せ、18.900。もう少しで19点台に乗ろうかという勢いである。

2位はロシアのKudryavtseva。Mamunに負けず劣らずのすばらしい演技であったが、リボンで若干の操作ミスがあり、2位となった。
3位はロシアのSoldatova。パンシェのローテーションは5回転に達し、よく回る選手、という印象である。
4位はイスラエルのRivkin。特にこれといった技を持っているわけではないが、プログラムを正確にこなすことで上位に食い込んでいる。
5位はベラルーシのStaniouta。クラブもリボンも小さな落下ミスが出て、メダルを逃した。
6位はアゼルバイジャンのDurunda。他の選手と比較すると、柔軟性は低いが、感情表現が豊かで、音楽をつかむことに関しては秀でている。4種目を落下ミスなしで乗り切り、6位となった。
7位はイスラエルのVeinberg。小柄な選手であるが、ロシアで強化合宿を続けており、練習もマックスでこなしている。その強さが試合にも表れているように思う。
8位はウズベキスタンのNazarenkova。春先まではロシアの選手として出場していたと思うが、国籍を移して、ウズベキスタンの選手になったようである。身体難度はそれほど強いとは思わないが、華やかさのある選手である。
9位がウズベキスタンのRakhmatova。Rivkinと同様、それほど特徴のある選手ではないが、きっちりとプログラムをこなしている。しかし、ウズベキスタンからオープン参加したSerdyukovaはパンシェのローテーションを5回、他のローテーションもグルグル回り、Rakhmatovaの上を行く点数を得たりしているので、この先、Serdyukovaが上がってくる可能性がある。
10位に皆川夏穗が入り、早川は12位となった。

<団体総合後半・ボール&リボン>
試技順1番はベラルーシ。連係の移動やキャッチが不正確になる場面はあったが落下ミスはなく、17.200。ペサロ大会以降メンバーを変更してきているが、ベラルーシ本来の団体同時性はまだ戻ってきていないように思う。ただ、若いチームであるので、徐々にまとまってくるであろう。

試技順2番はウズベキスタン。力強い演技であったが、交換や連係で落下ミスがあり、14.850。

試技順3番のイスラエルは、連係や交換のキャッチの移動も少なく、最後までエネルギーのある演技を見せて17.400。クラブとの合計で34.600となり、メダルをほぼ確定させた。

試技順4番めはアゼルバイジャン。身体難度の精度は低いが、落下ミスを抑えて、演技終盤まできた。が、ボールにリボンをからめるシーンがうまくいかず、最後の見せ場をやることができなかった。

そしてここから、なかなか点数が出ない。今大会もミスに関しては非常に厳しいが、審判員が選手の申告書を持ち寄っている姿が、オーロラビジョンに映し出されている。点数に関して揉めているのか何なのかわからないまま、ずいぶん時間が経ち、やっと次のイタリアの番になった。この時点でアゼルバイジャンの得点は表示されていない。

そして試技順5番目のイタリアは、出だしの連係でボールを落下。その後も交換での落下や、細かいミスが続いた。キャッチの移動や、連係中にリボンの結び目をほどくなどのミスも出て、14.850。最初から最後までばたついていた印象であった。

イタリアの点数もなかなか出ず、次の日本も出番を待たされる形となった。しかし日本(フェアリージャパンPOLA)は終始落ち着いて演技した。交換の移動や、両手でのボールキャッチが多かったが、全体的にはうまくまとめられたと言えよう。17.000。ここからもうひとつ上へ行くには、移動や不正確なキャッチをなくしていくしかない。

最後はロシア。キャッチの移動やバラツキはあるが、スピード感のある演技で17.900。

ここで試合が終わったはずであったが、なぜかアゼルバイジャンチームが再び演技をすることになった。交換でボールを押さえるところが、きちんと押さえられずにボールがこぼれたり、キャッチの移動や不正確なキャッチがあり、16.150。

結果、総合1位がロシア。
2位イスラエル
3位アゼルバイジャン
4位ベラルーシ
5位日本
6位イタリア
7位ウズベキスタン

アゼルバイジャンが2回演技を行ったのは、申告書がクラブのものだったらしく、やり直しとなったようだが、観客へのアナウンスを入れるべきだと思った。ちなみに、長いこと出番を待たされたイタリアは、再演技を申し出たが却下された。またアゼルバイジャンは、1回目の演技の直後、ひとりの選手が過呼吸となり、2回目の演技はメンバーが変更されているが、それを組織委員会に報告しているかどうかまではわからなかった。
とにかく長い中断は、重い空気となり、たしかにイタリアはやりづらかったであろう。しかし、こんなことも想定内で練習を積んでいかなければならないと思わされたケースであった。

明日は種目別決勝が行われ、団体、そして個人の皆川、早川と、全員がファイナルに出場する。

レポート 山﨑浩子

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