広州アジア大会現地レポート男子団体

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 体操競技の会場であるAsian Games Townは選手村内に設営されており、選手村からのシャトルバスで約7~8分のところに位置する。外観は近代的であり、非常に大きな建物である。体操競技のほかにビリヤードとスカッシュ競技も同じAsian Games Town内で競技される。13日に男子団体総合決勝から始まり、14日に女子団体総合決勝、15日に個人総合決勝、16日に種目別決勝前半、17日に種目別決勝後半と続く。
第1ローテーション:跳馬【チーム得点62.650】
演技者:渡邊,桑原,馬場,水鳥,中瀬
 1番・渡邊は、アカピアン【得点15.500】。2番・桑原はユルチェンコ2回ひねり【得点15.500】。両者とも姿勢に乱れのない実施で着地を一歩にまとめる。3番に演技をした馬場は、日本チームで唯一2本(1本目:ローチェ,2本目:アカピアン)跳躍を実施。ローチェは高さのある実施であったが、着地で後ろに大きく1歩動く【得点15.800】。2本目のアカピアンは余裕のある実施で着地を狙って行くも小さく一歩動く【得点15.300】。4番・水鳥がドリッグスを跳躍。高さ、距離ともに申し分ない実施で、着地を小さく飛ぶ程度に抑えた良い実施であった【得点15.850】。最終演技者中瀬はローチェ。高さと回転ともによかったものの、着地の先取りが遅れ前に大きく2歩踏み出す【得点15.300】。
 全体的に多少着地が乱れた部分もあったが、スタート種目を上手くまとめることができた。
第2ローテーション:平行棒【得点チーム得点59.800】
演技者:出口,水鳥,渡邊,桑原,中瀬
 1番・出口は、棒下3/4ひねり倒立でバランスを崩し、単棒倒立から懸垂浮腰上がり倒立になってしまったが、後半は大きな過失もなく演技を終了【得点14.550】。続く水鳥【得点14.750】、渡邊【得点15.050】ともに危なげない演技で着地までまとめる。4番・桑原は、棒下1/2ひねりやモリスエなどの高難度の技を、つま先まで神経の行き届いた演技で実施。終末技の屈伸2回宙返り下りの着地も決めた【得点15.450】。最終演技者の中瀬選手は、入りの棒下1/2ひねり倒立後にバランスを崩し、次の棒下宙返りにつなげることが出来ず落下。その後は持ち直し、普段通りの演技を実施する【得点14.450】。
第3ローテーション:鉄棒【チーム得点61.400】
演技者:馬場、渡邊、桑原、中瀬、水鳥
 1番・馬場は、アドラー1/2ひねり~伸身トカチェフ、コールマン、アドラー1回ひねり~ヤマワキ(伸身マルケロフ)の3度の手放し技を決める。途中、エンドーで上昇の勢いが足りず、肘を曲げて対処、着地を小さく1歩でまとめ演技終了【得点14.750】。2番・渡邊は、屈身コバチ、コールマンを決めたが、アドラー1回ひねりで鉄棒を越えることが出来ず振れ戻ってしまった。その後は、冷静な対処で着地までまとめる【得点15.200】。3番・桑原、アドラー1回ひねり~抱え込みコバチなど3回の手放し技を雄大な実施で成功させ、伸身新月面宙返り下りの着地を決める【得点15.700】。4番・中瀬はG難度の大技、カッシーナ(伸身コールマン)を雄大に成功させる。アドラー1回ひねり~ヤマワキの連続技を実施する予定であったがヤマワキにつなげることができず、振れ戻ったが、その後は落ち着いてこなし、着地を1歩で抑える【得点14.700】。最終演技者の水鳥選手は持ち味の雄大な手放し技を次々と成功させ、カッシーナ(伸身コールマン)、コールマン、コバチと技を成功させるたびに、会場から歓声と拍手が沸き起こった。着地も小さく1歩でまとめる素晴らしい演技で高得点を獲得した【得点15.750】。
第4ローテーション:ゆか【チーム得点58.050】
演技者:出口,渡邊,桑原,中瀬,水鳥
 1番・出口。2コース目の後方伸身2/1ひねり~前方伸身2回ひねりのシリーズで着地姿勢が低く尻もちをつきそうになるが、なんとかこらえる。その他は、普段通りの実施で、全体的によくまとまった良い演技実施であった【得点14.400】。2番・渡邊【得点14.700】、3番・桑原【得点14.400】は着地まで意識した安定感のある演技を実施。特に渡邊は最終タンブリングの後方伸身宙返り3回ひねり以外、すべてのコースで着地を止める素晴らしい演技であった。4番・中瀬は、1コース目に予定していた、後方伸身宙返り1回半ひねり~前方伸身宙返り2回ひねりのシリーズが前方伸身宙返り1回半ひねりになり、2コース目でも、前方伸身宙返り1回半ひねりを行い繰り返しの為、難度認定されず。大きな失敗なく演技を終えたものの演技価値点を下げることとなった【得点13.650】。最終演技者・水鳥は、安定感のある演技を披露し、最後の着地まで気を抜かない気迫が感じられた【得点14.550】。
第5種ローテーション:あん馬【チーム得点55.600】
演技者:渡邊,馬場,水鳥,出口,中瀬
 1番・渡邊、Eフロップでバランスを崩すが持ちこたえ、次につなげるも直後のDコンバインで再びバランスを崩し落下。その後は終末技まで無難にまとめる【得点12.600】。続く2番・馬場は、Dコンバインでバランスを崩し落下。交差技前の1ポメル旋回でもバランスを崩し2度目の落下。終末技においてもひねり途中で下りることとなり演技価値点を下げるとともに大過失が続いてしまう【得点11.250】。3番・水鳥は、失敗が続いたプレッシャーの中、安全な構成を選択し、途中バランスを崩しそうになるが、終末技まで丁寧に演技を実施。チームに良い流れを引き戻した【得点14.000】。4番・出口は、得意な種目とあり、危なげなく力強い演技を披露【得点14.950】。この種目チーム最高得点、全体としてもこの日、2番目の高得点を獲得した。終演技者の中瀬は、安定した美しい演技であん馬の種目を締めくくった【得点14.050】。1・2番手のミスが響き、チーム得点55.600と得点を伸ばすことが出来なかった。
第6ローテーション:つり輪【チーム得点60.000】
演技者:馬場,桑原,水鳥,渡邊,中瀬
 最終種目につり輪という厳しいローテーションの中で、全選手が粘りのある演技を見せた。
1番・馬場【得点14.500】、桑原【得点14.650】,水鳥【得点15.350】の演技には、力技の正確さを意識した姿勢がみられ、安定感ある演技を実施。4番・渡邊は振動からの力技を正確に実施し、終末技の前方屈伸2回宙返り1/2ひねり下りを小さく1歩にまとめる【得点14.950】。
男子団体総合決勝最後の演技者・中瀬は、中水平などの力技を正確に実施。グッチョギーからの本転倒立を粘り強く持ちこたえ、終末技の伸身月面宙返り下りを1歩でまとめる良い演技実施であった【得点15.050】。
 団体総合得点は357.500で、中国には及ばなかったものの、銀メダルを獲得できたのは日本選手の最後まで粘り強く演技した結果である。
15日から個人総合決勝、その後種目別決勝と続くが、身体のケアと調整練習をうまく組み合わせながら次の競技に臨みたい。