ティエグランプリ新体操国際レポート2

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種目別でも日本は大きなミスがなくまずまずの演技を披露した。総合の時より落ち着いた演技に見えたが結果は6位。
各部門の点数を見てみると、日本の芸術点は高く評価されている。総合の時のボールではロシアやベラルーシと肩を並べる9.45の点数を得ており、これは自信を持って良い。
逆にD1(身体の難度)は、ドイツやイスラエルが9点台に乗せているのに対し、日本は8点台中盤。まだ身体の難度の精度が悪く、また交換なども距離が短くなってしまうことがあるので、そこは改善していきたい。投げ受けの精度を増していくことが、現在の大きな課題であるが、これだけ力がひしめき合った中では、少しミスをすれば決勝進出もならず、逆にどのチームにもメダルへのチャンスがあるのだということを感じながら、練習をしていきたい。
練習会場にて
<個人競技レポート>
出場したのは22名。いずれも上位に名を連ねる選手たちばかりで、見ごたえのある大会となった。(日本は不参加)
1位となったのはエフゲニア・カナエバ(ロシア)。
若干難度が甘くなる箇所はあったが、以前より強さが増し、何より音楽と動きのマッチという点では他の追随を許さない。昨年から、一度は作品を新しくし、再度前の作品に戻したリボンでは、身体中でピアノの調べが奏でられ、会場中が彼女の演技に吸い込まれていくようだった。
2位はダリア・ディミトリエバ(ロシア)。
今回ロシア勢は4人出場したが、その中で難度や全体的な精度の良さを誇ったのは、このディミトリエバであろう。ピボットでは動脚のポジションを変えながらも、まったく軸がぶれず、余裕のある演技だった。
3位にはアレクサンドラ・メルクロバ(ロシア)が入った。
いくつか落下ミスが出て、そのたびにバタバタした感じはあるが、これでもか!というエネルギーの放出は見習うべきだろう。
4位はアリヤ・ガライエバ(アゼルバイジャン)
高い身体能力を生かしたエネルギッシュな演技を見せた。
5位はリュボフ・チャルカシナ(ベラルーシ)。
彼女も動きや難度の精度が上がっており、調子を上げてきている。
6位にはネタ・リプキン(イスラエル)が入った。
教科書に載せたいような難度のこなしで、動きの大きさも出てきた。
ダリア・コンダコバ(ロシア)は7位に沈んだ。
モスクワグランプリの際には、非常にエネルギッシュでパワフルな演技を見せてくれたが、今回は調整不足なのか、難度や動きに締まりがなかった。ピボットの軸の乗りもいまひとつで、投げも定まらず、何より投げをミスしたときに諦めモードが出てしまっていた。
特筆すべきは11位に入ったソン・ヨンチェ(韓国)。
前回のモスクワグランプリのフープで3位に入った自信からか、自分のプログラムを最大限に表現するという点では、選手の中で一番だったと思う。クラブでは二本投げのリスクで両方とも落下してしまい、惜しくもトップ10入りはならなかったが、他の3種目は実施ミスを探すのが困難なほど、完璧に演技した。特別に他の選手より高いポテンシャルを持っているわけではなく、特別に難しい手具操作をしているわけではない。それでも世界と戦えているという事実をきちんと受け止めなければならないだろう。
またテストイベントの時には多くの失敗を重ねていたフランスのムスタフィエバは、今回は大きなミスもなく、難しい手具操作、ほかの選手がやっていない手具操作をこなしていた。
ドイツのヤナも、ピボットや回転系の柔軟のスピードは、一番であった。ポテンシャルの高さを見せつけ、今後すぐにトップ10に上がってくるだろう。
カナエバやコンダコバがいまの新体操の理想型を作った中、他の選手もそれに追いつこうと必死になっている。難度だけでなく、身体中でそして手具とともに音楽を表現するといういまの素晴らしい流れに、日本も食らいついていかなければならない。