2018新体操WC杯ミンスク大会レポート2

報告者:山﨑浩子

8月18日、WCCミンスク大会2日目は個人総合後半(クラブ、リボン)と団体総合後半(ボール3&ロープ2)が行われた。

<団体総合後半>(ボール3&ロープ2)
日本(フェアリージャパンPOLA)は、足投げのロープが少々大きかったがうまく処理した。加点となる複数投げや手以外、視野外でのキャッチもほぼ行ったことで、D難度点は日本チームとしてはこれまでで最高の13.20を獲得した。またボールの片手受けも徹底して行ったことで、E実施も7.95。8点台に乗せることももう目の前まで来た。動きは少々小さく感じたが、いまできることは精一杯やれたと言えよう。合計得点は21.150。これもチーム最高得点であり、昨日のフープの得点19.650と合わせて40.800で、初めて40点台に乗せることもできた。そして日本は、前日3位のスペインを抜いて、銅メダルを獲得した。

出場選手
杉本早裕吏
松原梨恵
熨斗谷さくら
横田葵子
鈴木歩佳

1位はイタリア。
今日のイタリアはボールの両手受けが多い印象。実施は8.35であったが、難度点が12.90と伸びずに合計21.250。日本とわずか0.1の差であった。しかし、昨日のフープの得点23.050と合わせると44.300。危なげなく金メダルを獲得した。

2位はロシア。
今日の種目はとても巧みに見え、さすがロシアという動きをしていた。しかし、中盤の連係でボールがポロポロと落下したように見え、これを構成上のバウンドととるか、落下ととるか微妙なところであった。得点は(D13.90 E7.90 21.800)。E実施点が7.90ということはやはり落下と見られたと思われる。イタリアとの差を詰めはしたが及ばず、ロシアは銀メダルであった。

3位が日本で、4位には地元ベラルーシが入った。
ベラルーシもボールの両手受けが多く、キャッチの移動もあったが(D12.50 E7.60 20.10)で20点台に乗せた。総合点は38.400。

5位はイスラエル。
両手受け、四肢の美しさの欠如などはあったが、大きなミスはなく、(D12.50 E6.80 19.300)。総計38.300

6位は前日3位のスペイン。
この種目は少しわさわさとした印象で、キャッチの移動や、落下なのか転がしなのかわからないような箇所もあった。(D11.30 E7.10 18.400)総計38.250

7位ウクライナ。
非常に難しいキャッチを多用しているが、中盤の連係で落下ミスが出てしまった。(D12.40 E7.00 19.400)総計38.200

8位アゼルバイジャン
交換のキャッチに移動があったが、大きなミスはなかった。(D11.50 E7.70 19.200)総計37.550

今大会には強豪ブルガリアは出場していないが、日本は21.150の得点を獲得できたことで、3強(イタリア、ロシア、ブルガリア)にまったく歯が立たないわけではないことが明らかになった。今後はますます精度を上げ、まずは2種目ともに20点を超え、21点台中盤の点数獲得をめざしていきたい。

<個人総合後半クラブ、リボン>*喜田純鈴はコンデションを整えるため、棄権。

皆川夏穂はリボンの種目から。ジャンプの終末にリボンが近くなる箇所があったが、全体的には伸びやかな印象であった。1か所、R(リスク=手具を投げ上げ、2回転以上の転回を行う)からの投げ返しの際、リボンが場外に出てしまい、0.3の減点。
(D8.60 E8.25 ‐0.3 16.550)
これまでリボンではなかなか難度点が上がらなかったが、だいぶ上がってきたように思う。

最終種目はクラブ。
クラブは出だしのMGキックローテーションで大きく軸が外れ、そこからリズムを崩したのか、小さな投げで落下。パンシェバランスでも手を床に着いてしまう。側方支持なしバランスの投げでも投げが横に外れ、場外。持ち直そう、持ち直そうという気持ちは見られたが、大きなミスが続いてしまった。フロアーに入ってきた時から気合十分で、気合いが空回りした感じである。
最終種目が(D8.10 E5.95 ‐0.6 13.450)と大きく崩れ、総合点65.150で14位。

崩れはしたが、今回の皆川の試合への取り組み方は評価できる。難度も張りのあるラインが見えてきたし、AD(加点対象となる手具操作)も果敢に攻めている。もう少し、気持ちのコントロールができれば、コンスタントに上位に食い込めるようになるだろう。引き続き、質の良い練習を重ねていくことで、強くなっていくに違いない。

個人総合1位はイスラエルのASHRAM。
クラブもほぼ完ぺきな出来で、リボンを次々と技を繰り広げた。しかし、リボンの最後の技で、まさかの落下。17.100。総計77.800で、ロシアのSOLDATOVAの出来を待つ形となった。

そのSOLDATOVAはリボンのADで落下。しかし、以前感じていた粗さがなくなり、洗練された印象で、BD(身体難度)のキレも非常に良い。得点は18.300で、最終種目のクラブで20.500を出せば、ASHRAMと並ぶ計算となった。そして最終種目のクラブはBDの精度がすばらしく、MGキックのローテーションやパンシェローテーションなどを次々と決めていく。Rのコースが甘くなった箇所もあったが、大きなミスは回避した。
得点は20.350。総計77.650でASHRAMに0.15及ばず、SOLDATOVAは2位となった。

3位にはベラルーシのHALKINAが入った。
危ない箇所はいくつかあったが、いずれもうまく処理して、リボンは17.80。クラブは19.40。総計73.950

4位ロシアのSELEZNEVA、5位ブルガリアのTASEVA、6位ウクライナのNIKOLCHENKO。前日は3位であったが、クラブでADの落下があり、リボンでもBDの乱れがあって、順位を落とした。

7位ベラルーシのSALOS。
8位ブルガリアのVLADINOVA。

18点台はざらに出て、19点に乗せる選手も多くなってきた。
8位のVLADINOVAが71.550で、1種目平均17.90程度の点数を得ていることになる。
全体のレベルが上がっている中で上位に食い込むのは容易ではないが、とにかく質の高い練習を積んでいくことが重要であろう。

明日は種目別決勝が行われ、団体は2種目に、皆川はボールに出場する(リボンはリザーブ1)。

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