第36回世界新体操選手権レポート3

報告者:山﨑浩子

大会情報・結果へ

9月12日、第36回世界新体操選手権ソフィア大会3日目は、国別対抗戦3日目、同時に個人総合予選・種目別予選が行われた。
国別対抗戦は各国3名から4名で競われ、本年はフープ3演技、ボール3演技、クラブ2演技、リボン2演技と決められており、計10演技中ベスト8を合計した点数で競われる。

日本からは皆川夏穂、喜田純鈴、大岩千未来の3選手が出場。
フープ 皆川、大岩、喜田
ボール 皆川、大岩、喜田
クラブ 皆川、大岩
リボン 皆川、大岩
のオーダーとなっているが、3日目の日本はクラブの演技。

国別対抗戦と個人総合予選は同時に行われているが、ベスト3演技の合計点で個人総合決勝進出(上位24名 各国最大2名)ができるか否かが競われる。

クラブで先に登場したのは大岩。
1日目のボール、2日目のフープとていねいな演技をしてきた大岩は、本日のクラブも美しい演技を見せた。
R(リスク=手具を投げ上げ、2回転以上の転回を行う)のクラブでクラブをキャッチする技で、押さえきれずにクラブがこぼれ、落下。
S(ステップ)の際ももたつきがあったが、作品の流れが壊れるほどではなく、落下ミスがあったにしては、16.800(D難度点9.400 E実施点7.400)とまずまずの点数を得た。
Sの際のクラブのもたつきを落下ととるか、とらないかで大きな得点差になるが、Eの点数を見ると落下はなかったと見なされたようだ。
3種目を終えて合計51.500。

続いて皆川は、出だしのSからクラブ操作にもたつきがあり、落下するのではないかとヒヤッとさせられた。
しかし、なんとかこらえ、他のAD(加点対象となる手具操作)の投げも多少乱れてはいたが、今日も落下ミスは回避した。
17.650(D9.400 E8.250)
3種目を終えて合計53.900。

明日は最終種目のリボンの演技を行うが、リボンはADが入れづらく、その上、リボンの乱れなど、実施減点も多くなりがちである。
大岩のこれまでの3演技のうち、最低点はクラブの16.800。
皆川の最低点は、同じくクラブの17.650。

明日のリボンがこの点数を上回れば、3種目合計点がUPするわけであるが、リボンの得点推移を見ると、その可能性は低い。
現在の点数がそのまま生きるのではないかと予想される。

皆川は現在11位であるが、彼女より下位に位置している選手でも、明日の種目で高得点を出せば追い抜かれることになり、まだまだ順位の確定はできない。特に現在12位のベラルーシのHALKINAや14位のSALOSは、クラブの種目を残しており、高得点獲得の可能性も高い。
大岩は健闘して現在16位。彼女の下にも力のある選手がいるが、個人総合決勝に向けて良いイメージを残すためにも、明日のリボンの種目に集中してほしい。

現在の1位はロシアのDina AVERINA。
今日のクラブの演技では、足でクラブを踏む場面で踏めず、落下。
それでもDが12.100で20.500と、ミスをしても20点超え。
20.500(D12.100 E8.450)

Dの内訳は
D1<BD身体難度(ジャンプ、バランス、ローテーション)とS ステップ>の価値点
D3<AD(加点対象となる手具操作)、R(リスク>の価値点
とに分かれるが、D3の得点が7.100とハイスコアを出した。
3種目合計は60.800。

現在の2位はAVERINA姉妹のひとり、Arina AVERINA。
Arinaも、ラスト近くのADで、クラブを足で挟んだ後に落下。
投げの移動などもあり、
19.750(D11.300 E8.450)
3種目合計は60.000。

ロシアはクラブにDina AVERINA、Arina AVERINA。
リボンにArina AVERINA、SOLDATOVA
というオーダーできているため、今日はSOLDATOVAは演技していない。

SOLDATOVAの、昨日までの2種目合計点は40.375。
Dina AVERINAと並ぶには20.425が必要であるが、リボンでこの点数が出せるかどうか。

Arina AVERINAと並ぶには19.625。
点数が出にくいリボンの種目で、ロシアの中の個人総合決勝進出を競わなければならないが、誰が個人総合決勝に進出できるのか、最後まで目が離せない状況である。

メダル争いをするはずのイスラエルのASHRAMは、今日も落下ミスをして17.400(D9.600 E7.850 P0.05)。
現在10位であるが、個人総合決勝には予選の得点は持ち越されないため、決勝ではすっきりとした演技でメダルを狙ってくるであろう。

現在3位はウクライナのNIKOLCHENKO。
4位にブルガリアのTASEVA。
5位にブルガリアのVLADINOVA。

ブルガリアはTASEVAが4演技、VLADINOVAとKALEYNが3演技ずつ。
ロシアと同じように、明日のKALEYNの出来次第で、個人総合決勝進出は誰になるのかが決まるため、国内での争いも激化している。

明日は最終種目。
4演技をした選手は、その中のベスト3の得点が合計され、3演技のみの選手は、そのままの合計点で競われる。
1日1種目を演技する今大会は、1日の疲労度はさほどではないだろうが、4日間という長い期間に集中力を保っていなければならず、リズムを作りづらい。
精神的疲労度が増してくる時期であるが、どの選手もいまできる精一杯の演技をしてほしいものである。