2019新体操モスクワグランプリ現地レポート2

報告者:山﨑浩子

現地2月17日、モスクワグランプリは団体種目別決勝、個人種目別決勝、そしてインターナショナル部門個人総合が行われた。

<団体種目別決勝ボール5>
日本(フェアリージャパンPOLA)は、出だしからキャッチに少々の移動が見られた。
落下ミスを回避するために、キャッチの際の加点項目(例:手以外、視野外のキャッチ等)を実施しないところもあったが、冷静に対処し、落下ミスなく演技を終えた。
D1(交換、ステップ)6.30
D3(連係、リスク)8.50
D(難度点・計)14.80 E(実施点8.00)合計22.800

出場選手
杉本早裕吏
松原梨恵
熨斗谷さくら
鈴木歩佳
竹中七海

続くロシアは総合の時にミスしたMGキックでの落下は回避したが、今日はパンシェのローテーションで手をついてしまう。
交換でも落下が出て場外。予備手具にさしかえるとまた落下。
連係でも回転した選手がキャッチしないなど、いくつかのミスが出てしまった。
D1 4.20
D3 9.60
D 13.80 E5.50 場外ペナルティ(P)0.3 合計19.000

イスラエルは連係で落下。
キャッチも両手でのキャッチが多く、
D1 5.60
D3 8.90
D 14.50 E6.75 合計21.250

日本はこの種目、ロシアを抑えて金メダルに輝いた。

1位日本
2位イスラエル
3位ロシア
4位ウズベキスタン
5位カザフスタン
6位アゼルバイジャン
7位トルコ

<種目別決勝フープ3&クラブ2>
先に演技をしたのはイスラエル。
昨日は場外まで走っていくミスを二度犯したが、今日は連係もスムースに進んだ。
しかし中盤の連係で落下し、ステップでも落下。ラストの連係も大きく移動してのキャッチとなった。
それでも
D1 5.40
D3 9.30
D 14.70 E 6.55 合計21.250
で、ミスが出ても21点超えを果たした。

続いて日本。
昨日は数度の落下ミスがあったが、今日は昨日ミスが出たところを注意深く実施し、中盤から後半になるとエネルギーも高まってきた。
ラストの連係前の準備がうまくいかなかったため、アレンジして終了したが、全体的に非常に良い内容であった。
D1 6.10
D3 9.10
D 15.20 E7.80 合計23.000

2月という早い時期でのこの内容と点数は大健闘と言えよう。

出場選手
杉本早裕吏
松原梨恵
熨斗谷さくら
鈴木歩佳
横田葵子

そして試技順ラストに登場したのはロシア。
ボールの種目で、日本に王者の座を奪われただけに、なんとしても決めたいところ。

しかし、シカジャンプでの交換で落下すると場外までフープが行ってしまった。
フープの3本投げも大きく乱れて落下。ラストも大きな移動キャッチとなり、
D1 5.40
D3 9.10
D 14.50 E5.90 (場外P0.6) 合計19.800

日本はこの種目も制し、2種目で金メダルを獲得。強豪国ロシアの地で二度、君が代を聴くことができた。

1位日本
2位イスラエル
3位ロシア
4位ウズベキスタン
5位カザフスタン
6位アゼルバイジャン
7位トルコ

日本は、いくつか交換の投げ方を変更したり、まだやり切れていない技などもあるが、今後も実施力を高めていけば、戦いの舞台には立てるであろう。

<個人種目別決勝>
皆川夏穂は4種目すべてに出場した。
フープは上体を反らせた形でのジャンプターンの精度が非常に悪かったが、全体的にはうまくこなした。
D1 4.40
D3 6.80
D 11.20 E8.20 合計19.400
今日も19点台に乗せて、この種目で銅メダルを獲得した。

ボールは出だしのAD(加点対象となる手具操作)で、足でボールをキャッチできずに、ボールが転がった。
手元に転がってきたため、すぐにMGキックのローテーションに入ったが、崩れてしまう。
それでもその後は持ち直し、
D1 3.80
D3 6.30
D 10.10 E7.75 合計17.850

クラブはMGキックのローテーションもしっかりと決まった。
後半時間が足りなくなり、最後のADは行わなかった。
D1 4.30
D3 5.70
D 10.00 E 8.40 合計18.400

リボンは出だしからリボンが体に近くなり、結び目ができてしまう。
すぐにほどいて演技を続けたが、ラスト近くのADで落下。最後の投げも大きくなったが、なんとかキャッチした。
D1 4.10
D3 5.50
D 9.60 E7.20 合計16.800

ボール以外はすべて5位。細かなミスはあり、こなしきれていない部分も多いが、全体的には昨年より難度点をアップできていることから、順調な滑り出しと言えよう。

フープとボールの1位はロシアのDina AVERINA。
クラブはSOLDATOVAが1位に、リボンはArina AVERINAが1位となり、全種目ロシア勢が制した。
ベラルーシのSALOSは集中力に欠けてミスが相次いだが、リボンでどうにか持ちこたえ、銅メダル。
ジョージアのPAZHAVAはクラブで銅メダルを獲得した。

<インターナショナル個人総合>
大岩千未来はフープの種目から。
美しく演技していたが、MGキックで我慢しきれず、床に手をついてしまう。
D1 4.20
D3 6.60
D 10.80 E 7.05 17.850

ボールは出だしのADで、足でボールをはさめず落下。
直後のバランスは必死にこらえ、後半はうまくまとめた。
D1 4.50
D3 5.50
D 10.00 E 7.60 17.600

クラブは前半のリスクの投げが流れたが、よく反応して落下は回避した。
足でクラブを踏む演技でうまく踏めない箇所があったが、ローテーションの軸はしっかりとしている。
D1 4.70
D3 6.70
D 10.90 E 7.20 18.100
18点台に乗せてきた。

リボンは前半の支持あり後方のローテーションでは、何回まわったかを確認することができないほど高速で回転した。
おそらく6~7回転ぐらいは周ったのではないだろうか。
最後まで軸が崩れることがなく見事なローテーションであった。
アチチュードのローテーションから支持ありのローテーションに変化するところではうまく軸に乗れなかったが、全体を通じてよどみのない演技を見せた。
D1 4.40
D3 4.20
D 8.60 E 7.75 16.350

4種目合計69.900

大岩は、ロシア選手3名に次ぐ4位であったが、インターナショナルは各国1名が表彰台に乗れるため、銀メダルに。
価値ある一歩となった。

若干のミスはあったが、大岩も皆川と同様にADを多く入れ、4種目とも演技を変えた割には、この時期にうまくまとめられている。
まだたどたどしさがある分、実施点が伸びないが、こなしが良くなるにつれて実施点もあがっていくことを考えると、今後の成長が楽しみである。

今大会、日本選手はよく健闘したと評価できる。
しかし、シーズンは始まったばかり。各国の選手、チームも徐々に仕上げていくであろうし、ピーキングを間違わないように、ひとつひとつ階段を上がっていってほしい。
現地レポート1(2月16日)
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