新体操W杯ソフィア大会レポート1

報告者:山﨑浩子

4月12日、W杯ソフィア大会は個人総合前半と団体総合前半が行われた。
今大会も参加選手、参加国は多く、個人競技に66名、団体競技に15チームが参加。日本からは個人競技には特別強化選手の喜田純鈴、団体競技にはフェアリージャパンPOLAが出場した。

<個人総合前半>
喜田は3月に行われたリスボンインターナショナル以来の出場で、最初の種目となったボールは動きに硬さが見られた。
ステップ時にあごの下でボールを挟む動きがうまくいかず、対応。AD(加点対象となる手具操作)でのキャッチにも移動があったが、なんとか踏ん張った。
得意のパンシェのローテーションは決まり、硬い中でも落下なしでこらえた印象である。
D1(BD身体難度、Sステップ)4.500
D3(AD、Rリスク=手具を投げ上げ、2回転以上の転回をしてキャッチ)6.300
D難度 10.800
E実施  7.850 計18.500
まずまずの点数を得た。

2種目目はフープ。
フープは少し楽になったのか、ボールよりも伸びやかに演技した。
MGキックでのキャッチが流れてしまったが、全体的には移動キャッチも少なく、スピード感のある演技だった。
D1 4.600
D3 6.400
D 11.000
E  8.000 計19.000
実施を8点台に乗せ、合計も19点台に乗せることができた。
2種目合計 37.650

前半1位はロシアのSOLDATOVA。
フープでは若干操作にもたつく箇所はあったが、2種目とも大きなミスはなかった。
パンシェのローテーションの後、バランスの連続に入るなど、BDは安定していた。フープに関しては少しADが少ない印象。大技はあるが、小技が少ない感じである。
フープ
D1 5.300
D3 6.000
D 11.300
E  9.150 計20.450

ボール
D1 5.300
D3 7.300
D 12.600
E  9.200 計21.800
2種目合計42.250

2位は同じくロシアのSELEZNEVA。
ボールではADで落下があり、ローテーションも崩れ気味であったが、フープはしっかりと決めてきた。
フープ
D1 5.000
D3 7.700
D 12.700
E  8.600 計21.300

ボール
D1 4.900
D3 6.300
D 11.200
E  8.200 P(タイム減点0.05) 計19.350
2種目合計40.650

3位はイスラエルのASHRAM。
今季初めてASHRAMを見たが、相変わらず安定感はある。
しかし珍しくボールの転がしADで落下。フープは大きなミスはなかったが、他の選手が数多くのADを入れるようになってくると、以前ほど存在が目立たなくなってきた感じがする。
フープ
D1 5.300
D3 7.200
D 12.500
E  8.600 計21.100

ボール
D1 5.000
D3 6.800
D 11.800
E  7.700 P0.05 計19.450
2種目合計40.550

4位は地元ブルガリアのVLADINOVA。
最初の種目ボールではパンシェのローテーションで大きく崩れ、フープでも投げが乱れて対応に追われていたが、落下ミスは防ぎ、難しいADをこなした。
フープ
D1 4.900
D3 7.000
D 11.900
E  8.250 計20.150

ボール
D1 4.300
D3 7.500
D 11.800
E  8.550 計20.350
2種目合計40.500

5位同じくブルガリアのTASEVA。
2種目とも大きなミスはなく、非常に難しい操作をこなしているが、あまりにもサラリとやっているため、難しさが表現できない印象。
フープ
D1 4.700
D3 7.300
D 12.000
E  8.650 計20.650

ボール
D1 4.500
D3 7.000
D 11.500
E  8.300 計19.800
2種目合計 40.450

6位にイスラエルのZELIKMAN。
ASHRAMに似たタイプで、安定感があり、ADを数多く入れている。羅列にも見えるが、点数は出やすい。
フープ
D1 4.400
D3 7.500
D 11.900
E  8.300 計20.200

ボール
D1 4.700
D3 6.800
D 11.500
E  8.350 計19.850
2種目合計 40.050

7位には中国のZHAOが躍り出た。
BDがはっきりしていて見やすく、回転力もある。手具操作も巧みであり、よどみない演技を見せた。
フープ
D1 
D3
D 10.800
E  7.950 計18.750

ボール
D1 5.400
D3 6.200
D 11.600
E  8.300 計19.900
2種目合計38.650

8位はUSAのGRISKENAS。
2種目とも大きなミスはなし。
フープ
D1 5.100
D3 5.900
D 11.000
E  8.400 計19.400

ボール
D1 5.100
D3 5.500
D 10.600
E  8.350 計18.950
2種目合計 38.350

イタリアのAGIURGIUCULESEとBALDASSARRIは大きなミスはなかったが、もたつきや重さが見られて、現在9位と10位。
11位にベラルーシのHARNASKO。ボールはミスなく19.600を出したが、フープではバックルでのパンシェローテーションで大きく崩れて手を床についてしまう。18.200
12位にウクライナのNIKOLCHNKO。
ボールではADで2か所の落下。19.050  フープでも背面キャッチで落下し、大きく走った。18.700

13位に喜田がつけている。喜田はフープでは9位で種目別決勝リザーブ1。健闘したと言えよう。
ベラルーシのSALOSは2種目ともにミスが続き、フープ18.400、ボール18.000で現在15位。

2種目を終わった段階で、1位のSOLDATOVAが頭一つ抜け出ている感じである。
2位のSELEZNEVAから5位のTASEVAまでは0.1あるいは0.05刻みで続いており、誰がメダルを獲得してもおかしくない状況である。
また下位にいる選手でもその差はさほどないため、みな巻き返しを図ってくるだろう。

<団体総合前半ボール5>
日本は試技順13番目に登場。
連係の足投げが違う相手に飛んだが、練習でも対処しているシチュエーションであり、すぐに対応していた。
しかしそのために次の投げが遅れたことで投げが乱れ、移動キャッチとなったが、全体的には落ち着いて演技していた。
気になるのは投げの高さが、いつも同じような高さであること。ダイナミズムという点で、空間の抑揚にかけると感じられた。
D1(BD、ED交換、S)5.900
D3(C連係、R)9.800
D 15.700
E  8.050 計23.750

出場選手
杉本早裕吏
松原梨恵
熨斗谷さくら
鈴木歩佳
竹中七海

前半1位はブルガリア。
地元の声援にも後押しされて、迫力満点。
移動キャッチも少なく、芸術性豊かなパフォーマンスであった。
D1 6.000
D3 10.100
D 16.100
E 8.850 計24.950

2位はイタリア
大きなミスはなかったが、ペサロ大会(イタリア)のときより少し小さく見える。
D1 5.500
D3 10.300
D 15.800
E 8.500 計24.300

3位が日本(23.750)で、4位にベラルーシ。23.350
5位ウクライナ 23.150
6位ロシア 21.800

ベラルーシ、ウクライナとも1か所の落下があった。ロシアはナショナルチームではない。
3位の日本から5位のウクライナは僅差。
日本はペサロ大会でD3が少ないことを課題としたため、ソフィアに移ってから連係を増やして点数を少し上げた。
そのためまだバタバタとしている印象は否めないが、今後のためには必要なことなので、チャレンジしてほしい。

明日は個人総合後半と団体総合後半が行われる。
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