第74回全日本新体操選手権大会 女子レポート

報告者:日本体操協会 藤野朱美

◆団体競技
優勝は日本女子体育大学、全日本選手権大会3連覇。
団体総合、種目別ボール5、フープ3+クラブ2、全て今大会最高得点を叩き出し、完全優勝を果たした。
(今大会は、団体総合の得点が種目別の得点となる。)
終始手先足先まで神経の行き届いた動きで、交換や連係の移動が少なく完成度の高い演技であった。
総合得点 67.350
ボール5得点 34.750(1位)
フープ3+クラブ2得点 32.600(1位)

2位は武庫川女子大学。
力強さと、5名の選手の息の合った演技で団体総合2位の座についた。
少し乱れた投げも、チームワークの良さでカバーし大きな過失には繋がらなかった。
総合得点 64.550
ボール得点 33.500(2位)
フープ3+クラブ2得点 31.050(4位)

3位は東京女子体育大学。
ボール5はクラッシック音楽に乗せて、フープ3+クラブ2は対極のロック。
投げが高く、動きに大きさがあり、空間の使い方が団体の特性を活かした演技構成であった。
総合得点 62.750
ボール5得点 31.950(4位)
フープ3+クラブ2得点 30.800(5位)

Dスコアが青天井となり、高得点を獲得するために、世界中の演技が投げ技の連続となった。
また、CVD-19の影響で東京オリンピックが1年延期になったことで、ルール改正が1年遅れた。
パリオリンピックに向けたルールは、2022年1月に改正される。

 

◆個人競技
個人総合優勝の座に輝いたのは、山田愛乃選手(イオン/国士舘大学)。
初日のフープ、ボールから首位をキープし見事初優勝を飾った。ダイナミックで基本に忠実な美しい演技と存在感は、海外選手にも引けを取らない。
1日目のフープでは少し硬さが出たとコメントしたものの、2種目とも安定した演技を披露した。
2日目のリボンでは、演技後半のAD(手具の難度)での落下が惜しまれる。クラブではリボンのミスを挽回し、表現力豊かでエネルギッシュに演じ、高得点をマークした。
試合後のインタビューで、「ここ数年、身長が伸びたことで身体が思うように動かなかったが、今大会は」とコメントを残す。今大会ではかなり改善され、動きのスピード感とキレは数か月より格段に良くなっている。
「パリオリンピックに出場する事が目標です」とキラキラした笑顔で、3年後に向けての意気込みを語った。
フープ21.450 ボール21.500 クラブ23.050 リボン17.650<総合得点83.650>

2位は松坂玲奈選手(東京女子体育大学/ヴェニエラRG)。
ダイナミックで巧みな手具操作に定評がある松坂選手。今大会でも、手具を体の一部のように扱い、スピード感ある技さばきで次々と得点を重ねた。
2日目クラブでは、演技序盤のADでジョイントしたクラブが外れ惜しくも落下。しかし、最終種目のリボンではクラブのミスを挽回し、集中力を切らすことなく会心の演技をみせた。巧みな手具操作で最高得点をマークし、見事種目別優勝を果たした。
フープ20.000 ボール20.800 クラブ19.600 リボン17.750<総合得点78.150>

3位は鈴木菜巴選手(須磨ノ浦高等学校/アリシエ兵庫)
高校2年生の期待の新鋭、初日は2位で通過。
1つ1つ丁寧に技をこなし、無駄のない演技で着実に得点を重ね、得意種目のボールでは21点台をマークした。
2日目のクラブとリボンの演技では、両種目共に落下ミスが生じた。
フープ21.000 ボール20.050 クラブ19.500 リボン15.950<総合得点76.500>

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