第75回全日本新体操選手権大会レポート(男子)10/29

報告者:日本体操協会 男子新体操委員会

大会三日目は男子団体16チームによる予選演技と個人種目別決勝スティック、リングの部門が開催された。団体、個人共に久しぶりの決勝種目復活により、観客は一層楽しめる大会となっている。また、今大会より男子予選の持ち点制度が廃止となり、予選は決勝に進出する上位8チームを決める競技となった。故に決勝競技一回の試技で全日本王者が決定することから、予選、決勝通して安定した力を発揮することが重要である。

【団体予選】

予選トップに立ったのは青森大学であった。
圧倒的な運動量と動きの安定感を武器に今年も盤石の強さを誇っている。倒立で惜しいふらつきがあったが、それ以外の部分では自力の強さを見せつけ圧巻の演技を披露した。試技順2番と早い段階での登場で、満員の観客のボルテージも上がったこと間違いなしの演技であった。得点は18.575の高得点であった。

第2位につけたのは国士舘大学。
4年生不在のチームながらも今年は安定した演技を披露している。昨年はミスが響き高校生の後塵を拝すこととなり悔しい年であったが、今年は着実に実施力を上げ青森大学に続く18.225をマークした。夏のインカレから演技を一新し内容を大幅に変更しての挑戦だったが予選演技で安定した演技を披露した。

第3位には倉敷芸術科学大学がつけた。
創部して間もないチームではあるが、素晴らしい実施力で17.550を出し見事3位で予選を通過した。流れるような演技と高い柔軟力を活かした構成は3分間あることを忘れさせてくれるものだった。明日の決勝でも大いに期待したい。

決勝競技に進出する上位8チームは次の通りに決定した。

青森大学
国士舘大学
倉敷芸術科学大学
花園大学
bakuten新体操クラブ
青森山田高等学校
神埼清明高等学校
鹿児島実業高等学校

この8チームで今年の王者を決することになる。男子団体の熱い戦いは10月30日11:00からスタートする。ぜひ注目してほしい!
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【個人種目別決勝】

個人種目別決勝には個人総合の各種目上位8名が進出する。特別ルールとして同一所属は最大3名までの出場のため、仮に個人総合で各種上位8人の中に同一所属選手が4名以上いた場合、次点の選手が選出される。しかし、今大会では全ての種目で上位8名がスムーズに選出された。正に今年度の各種上位8名が選ばれる形となった。

スティック第3位 堀孝輔(高田RG)
個人総合王者の堀選手が予選でミスしたスティックで見事にノーミスの演技を披露した。演技中の雰囲気は研ぎ澄まされた刃物のようにシャープで、空気を切り裂くように一つ一つの技を完璧に決め見事18.225で第3位となった。

スティック第2位 東本侑也(同志社大学)
東本選手も予選でミスのあったスティックを見事に演じ切った。難度の高い連続投げをすべて決める。左手投げ左手受けを右手で受けてしまう場面があったが、最終タンブリング後に冷静に対処し要素減点を回避した。大きな徒手と滑らかな動きを武器に堀を上回る18.350をマークし第2位となった。

スティック優勝 大村光星(花園大学)
予選でこの種目トップ通過の大村選手がここでも完璧に演じた。体の脱力と緊張をうまく演技に活かし、動きのアクセントを明確に表現した素晴らしい作品であった。投げ受けのズレはややあったが、高い技術力で難なくカバーし今大会通じてここまで最高得点の18.525をたたき出しこの種目見事金メダルを獲得した。

リング第3位 尾上達哉(花園大学)
尾上選手が自身の表現力を最大限に活かし感情豊かに演じきり見事、銅メダルに輝いた。演技前半少し緊張感が漂うように感じたが、中盤に差しかかるにつれ表現の幅が更に増しピークに達したところでラストを迎えた17.975で3位に入賞した

リング第2位 向山蒼斗(国士舘大学)
個人総合で惜しくも落下の出たリングで見事にリベンジを決めた。更に演技構成も予選より難度を上げての演技に会場も大いに盛り上がった。向山選手オリジナルの投げ技「ライズキャッチ」は予選であと数センチ足りず悔しい落下になってしまった。決勝でも少し前に行きあわや!といった印象であったが予選の経験からかそれでも手を伸ばし今度は指先でしっかりとリングを受けた。18.175を出し見事2位に滑り込んだ。

リング優勝 堀孝輔(高田RG)
個人王者にふさわしい圧巻の演技を披露してくれた。予選でも今大会自身最高点の18.475を出したリングで決勝でも素晴らしい会心の演技で会場を沸かせた。演技中にも笑顔にも見える余裕のある表情で演じ、この種目予選に続き18.475で優勝を勝ちとった。

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